52ヘルツのクジラたち 町田そのこ(著)
深い海の底にひとりで泣いている孤独な声を聴き逃さない作家が書いた小説。
とてもよく書けていると思ったし、よくこのテーマに挑んだなと思いました。
「あなたは独りではない」というメッセジがあると同時に、「あなたは独りかもしれない、でも生きていていいんだ」という作者の声が聞こえる。
あからさまに「感動」に持っていかない姿勢に共感できます(でもしっかり感動できる)。
これはもしかすると映画かドラマ化されるかもしれないけれど(すでにされているかも)、この物語は読む人それぞれひとりずつに、訴えかけてくる要素があるような気がする。つまり、読む人すべての心に、それぞれ違った感情を抱かせる余白を感じさせる。
よく書けていると思う。この人の他の作品も、機会があったら読んでみたいと思った。
B54-2022-6