B33-2021-14 白ゆき姫殺人事件 湊かなえ
休みの日の午後、雨が降っていれば何故か古いユーミンのアルバムを聴きたくなる。たとえば「OLIVE」とか。
ほとんどそれは生理現象といってもいくらいだ。
そんな感じで自分の生理的に基づく感情の揺れは、自分自身ではどうにも出来ない。
自分にとって雨の日のユーミンと対極に位置するのが、お昼のワイドショーだ。そしてネット上で繰り広げられる痴話話だ。なるべくならそんな世界とは距離を置きたい、といいたい所だが、たまに不可抗力のようにその世界に出くわす事がある。しまった、と思っても、もう遅い。何故かずるずるとその場から離れられなくなっていたりする。幻滅する。
ついこの間も、車のオイル交換をしにディーラーに行ったところ、作業を待つあいだ何もやることがないので、ぼぅとテレビを見ていた。
ロビーに置いてあるテレビで、その空間にしてはたいした大きくはなく、音量もしぼられていた。しかし、それでも少なからずテレビの音声は耳に入ってき、画面も見える。見てしまう。今いちばんホットなニュースを何人かのコメンテーターと学者が云い合っている。ほんとにうんざりする時間である。
情報が情報を呼び、噂に羽が生え、罵倒と本音が裸でぶつかり合っていた。今の自分にそれを見るのはひどくカロリーが消費されるものだが、見てしまったものはしかたがない。今度から気をつけようと思う。
そのように地獄のような世界を描いているのが本書だ。
湊かなえは意図してその地獄を描くのに長けている。湊かなえの作品を読むと、一気にカロリーが消費される。
ダイエットにはいいかもしれない。
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