六つの星星 川上未映子対話集  川上未映子

私は川上未映子のことが好きなんだろうか。
ふとそんな事を思う。
私は角田光代を好きなように、川上未映子が好きかもしれない。
川上未映子を好きなように、角田光代のことが好きなのだ、きっと。
にんげん、というよりも彼女たちの書く文章のことだ。
川上未映子は発明をしたんだと、僕は思っている。
今までにない小説を、彼女は書いた。
今までにない詩を、文章を、彼女は彼女が発明した文体で世に問うた。
一種の革命だったと、今でも僕は思う。
それがたとえば薄っぺらなものであればワン・ヒット・ワンダー、そのときの時代が生んだホニャララみたいな扱いを受けていただろう。
けれど川上未映子のレイヤー(層)は生半可なものではなかった。
この対話集はまるでそれを証明してるかのようだと僕は思った。
対話の相手と内容がその証左。
川上未映子がこの対話の中で小林秀雄の言を引用している部分が心に残った。
あれほど多くの書物を残した小林秀雄が、

書いても書かなくても、結局同じことだった。

という。
ほとんどめまいするくらいに重厚的な発言である。
このような言葉を見逃すことなく拾い上げる川上未映子のアンテナに流石と思う。
たけくらべも読みたくなった。
古典とかそれにかぎらず、自分のアンテナに従順に彼女の魂のベクトルは迷いがない。その潔さ。その真っすぐさに心を打たれる。

B59-2022-11

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