本16 3652 伊坂幸太郎エッセイ集 伊坂幸太郎
怒られそうだけどこの本を、場つなぎ的に読もうと思って図書館から借りてきたのだった。
何かの本と何かの本の骨休め、というか、句読点みたいな感じで軽く読み始めたのだった。
でも読み始めたらそこには伊坂ワールドがあって、ついつい本腰で最後まで行ってしまった。
伊坂幸太郎の文章には、小説もそうだけれど何かしら惹きつけられるものがある。そんな気がする。目に見えない牽引力のような。
はじめて伊坂幸太郎の小説を読んだのは16年くらい前だろうか。「重力ピエロ」だった。
それから「オーデュポンの祈り」「ラッシュライフ」「陽気なギャングが地球を回す」などなど、立て続けに読んだ。何ておもしろい作家だと思った。けれど当時は伊坂幸太郎をパソコンで検索してもほとんど何も出て来なかった気がする。せいぜい「作家」というのが出てきたくらいだったかもしれない。隔世の感がある。
このエッセイではパソコンで検索するまでもなく、すっかり売れっ子になった伊坂幸太郎の私生活の一部が書かれていたり、作家になる前後の詳細、映画に対する愛が見られる。読んで何かが残ったか、と問われれば「NO」と云うしかないけれど、しかし当初の計画であった「軽く読めた」という理念は達成できたと云ってもよいと思う。