B28-2021-9 「グレート・ギャツビー」を追え ジョン・グリシャム(著) 村上春樹(訳)

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①フィッツジェラルドの直筆原稿はどのような経路でブルース・ケーブルの元へ転がり込んだのか。
②FBIがブルースの書店へ捜査に入った時、直筆原稿はいったい何処に隠されていたのか。
③そしてFBIはブルースを何故逮捕出来なかったのか(預金通帳などを徹底的に調べれば足はつくはず)。

 その他にもこまごまとした謎が残る小説ではあった。もっとじっくり読み込めばあるいはもう少し理解に届くかもしれない。あるいはただ単に自分の読解力が足りないのかもしれない。おそらくその可能性が高い。
 強盗団が盗んだ「原稿」がどのような流れでブルースに行き着いたんだろう?強盗団がその宝物を手放すディテール(仲間割れや、早くに仲間2人が捕まったトラブルがあったにせよ)が全然残っていなくて、気になってしょうがなかった。ブルースに潤沢な資金があって、金でそれを手に入れたというのは何となくわかるが、その流れにどことなく無理があるような気がして。後ろのストーリーがすでに出来上がっていて、それに合わせて前を合わせた、という印象が否めない。あくまで個人的な意見であるが、この展開、自分としてはうまく呑み込めなかった。

 そのような小さな謎、あるいは個人的に感じる瑕疵が、いつかスッキリするだろう、と読み進めたが、とうとう最後まで個人的謎が残り、わだかまりは消えないままだった。さらに云えば、この物語の主人公のひとり、女流作家のマーサー・マンという女性にあんまり魅力を感じなかったなあ(ブルース・ケーブルにも同様に魅力を感じず)。
 と、ここまで書いて、じゃあこの本はつまらなかったか、と問われれば、そんなこともない。何かしら残るものがあるし、文体やストーリーの世界観にはじゅうぶんな魅力があったからだ。海がきれいな小さな町で古本屋なんて素敵ではないか。自分もそんな風に美しい海の近くで古本屋などを営んでみたいと思った。

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