田舎に住んで、まともな生活をしている人々を、私は尊敬こそすれ、田舎者とはいわない。都会の中で恥も外聞もなくふるまう人種を、イナカモンと呼ぶのである。
かの白洲正子の随筆集「夕顔」の一節を
新潮社の小林加津子さんが紹介していた
(今週の『ACROSS THE SKY』)。
約30年前の93年刊だから、
「恥も外聞もなく」と言っても、
いまと比べればおとなしかったはず、
と思うのだが、
ここで語られる
「イナカモン」という言葉、
いまや
その意味すら理解できない層が
多数派を占めるのではないか。
もちろん、東京と言っても実際は
遠方出身者が大半を占める、
という意味での「イナカ」ではない。
恥を感じ体裁が悪いと思う基準は移る。
しかし、
お互いが気持ちよく過ごすための
人に対する配慮を、
欠く行為はやめてほしい。
大声、公共の場での振る舞い、
濡れ傘の持ち方、
荷物の置き方・降ろし方、
人混みでの歩き方、子供の遊ばせ方、
頼み方、謝り方、断り方。
そう言えば、
SNSの匿名での誹謗中傷も、
なぜ恥ずかしいと思わないのか不思議だ。