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「人は30歳前後で新しい音楽を聴かなくなる」という定説をZ世代は覆すかもしれない【ポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』文字起こし】

世界のビジネス・テクノロジー・ライフスタイル・カルチャーのトレンドを、世界各地の編集者・ライター・クリエイターが現地からお届けするポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』。

この番組では、「ポッドキャストの中身は気になるけど、ゆっくり聴く時間が取れないよ!」という方のために、リスナーさんからの反響が大きかった人気エピソードの文字起こしをnoteで配信しています。

今回は「「人は30歳前後で新しい音楽を聴かなくなる」という定説をZ世代は覆すかもしれない」の回をお楽しみください(Spotifynoteでのフォローもお待ちしております)。

 行武さん、最近カラオケ行きました?

行武 いやあ、全然。行きたいんですけど。

 行ったらなに歌います?

行武 うーん、斉藤和義とか?

 懐かしい(笑)。 「懐メロ」ですね。

行武 岡さんは?

 ミスチルとか?

行武 ミスチルも僕らにとっては懐メロですね。

 行武さんが斉藤和義を聴いてたのっていくつくらいのときです?

行武 え、たしか中二くらいだったから、14歳とか?

 おお、僕もミスチル聴いてたのって、それくらいのときなんですよね。

行武 やっぱりこう、中学生のときくらいに聴いてたのが、懐かしく感じるというか。

 それ、実は一理あって。

行武 ほお。

 Spotifyのデータを分析したら、男性なら14歳、女性なら13歳のときに聴いてた音楽を一番好むそうですよ。

行武 ドンピシャだ。しかもその自分が一番好きな音楽って、年を取ってもなかなか変わらなかったりしません?

 分かります。ずっと好きですよね。

行武 どうやら人って30歳前後で「音楽的麻痺」っていうのがあるらしくて。

 音楽的な麻痺?

行武 そう、新しい歌手とかジャンルをまったく聴かなくなるっていう。

 ああ(苦笑)。30すぎると音楽の嗜好が固定されてしまうってことですね。

行武 そう、僕は今32歳で、岡さんはもう34?

「もう」とかやめてくださいよ(苦笑)。

行武 すみません(苦笑)。

岡 いやあ、でも凝り固まっちゃうかもなあ(苦笑)。

行武 僕もそうですよ。

 でも、その音楽的麻痺=音楽的嗜好の固定化って、Z世代では起こらないかもとも言われてるんですよ。

行武 ほお。Z世代というと、今の10代、20代前半の人たち。

 そうです。

行武 どうしてです?

 僕らが学生のころとかって、新しい音楽、どうやって見つけてました?

行武 タワレコとかツタヤでCD借りたり、あとはディスクユニオンって中古のCD屋にめちゃくちゃ通ってました。

 iPodに入れて、とかやってましたよね。

行武 懐かしい。でもそうでした。

 そういうCDショップとかって、結構ジャンルでコーナーが分かれていたじゃないですか。

行武 ですね。フロアも違っていたり。

 そう。それもあって、音楽の好みが固定化しやすいっていうのはあったんじゃないかと思うんです。

行武 ああ、たしかにレゲエとか縁なかったですもん。でもそれがZ世代だと?

 どうです?

行武 音楽はネットでダウンロードしたり。

 ストリーミングするのが当たり前ってなってる。

行武 しかも、ネットならいろんなジャンルに触れやすい

 そう。

行武 YouTubeもSpotifyもあるわけですから。

 実際、アメリカに住む13歳から22歳の女性のうち、97%の人が5つ以上のジャンルの音楽を聴くって答えたそうですよ。

行武 5つも。例えば、ポップに、ロックに。

 あとは、ラップ、オルタナティブ、R&Bとか多いみたいです。

行武 幅が広い!やっぱりYouTubeの影響が大きいんでしょうね。

 みたいです。YouTubeで新しい音楽を見つけて、Spotifyで聴き込むっていうZ世代が多いそうです。

行武 へえ。そうやって新しい曲をどんどん見つけていくから、音楽の嗜好が固定化しない、「流動化」が起こっているんですね。

 しかも、流動化だけじゃなくて、「多様化」も進んでいるみたいですよ。

行武 多様化というのは、どういうことですか?

 さっき、「ジャンル」の話をしたじゃないですか?

行武 はい。ポップとかロックとかラップとか。

岡 今って、それだけじゃ切り分けられないジャンルが増えてきているんですよ。

行武 ああ、たしかに。有名なノルウェーのDJのカイゴとかって、「ハウス」ではありますけど、「ディープ・ハウス」とか「トロピカル・ハウス」とも言われますよね。

 ですね。あと、同じくノルウェーの有名なDJ、アラン・ウォーカーも、「エレクトロ・ハウス」とか「プログレッシブ・ハウス」とか言われますし。

行武 ほんとだ、作り手のほうもどんどん多様化してきてる。

 それに、YouTubeではまったく新しいジャンルなんかも出てきていますよね。

行武 どんなのです?

 僕が好きなのは「Lo-fi Hiphop」とか「Future Bass」とか。

行武 Lo-fi Hiphop、僕も好きです!

 あれは音楽聴くぞってときというよりは、仕事中にかけるためのBGMとして人気だったり。

行武 たしかに向き合って、「聴くぞ!」というより、BGMっぽさが強いですね。

 みたいな感じで、YouTubeとかSpotifyに触れて育つ次の世代たちは・・・・・・?

行武 音楽の嗜好が固定化することがなくなって。

 流動化と多様化が進んでいくかもしれないと。

行武 いやあ、なんか急に、自分たちがこう・・・・・・。

 おっさん?

行武 みたいな(苦笑)。

 ちゃんとYouTubeで新しい音楽探そう〜。

行武 年取りたくないよ〜(苦笑)。

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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