「感情を測る」機能が続々、コロナ禍でウェアラブルが進化【ポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』文字起こし】
海外のトレンド、若者の間で生まれる新しい価値観を、各国で暮らす編集者・ライターがお届けするポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』。この番組ではリスナーからの反響が大きかった人気エピソードの文字起こしをnoteで配信しています。
今回は『「感情を測る」機能が続々、コロナ禍でウェアラブルが進化』の回を文字起こししました。
ウェラブルデバイスーー心拍数や歩数をスマホアプリと連動させて計測し、健康管理に役立てるツールとして人気を博しています。そんなウェアラブルデバイスが、今新たな次元へとシフトしつつあります。
その次元とは「ムードトラッキング」、ユーザーの感情を追跡する機能です。
「Fitbit Sense」「Upmood」、そしてAmazonの「Halo」とムードトラッキング機能を搭載したウェラブルが立て続けにリリース。どのようにして人びとの感情を測り、健康維持を助けてくれるのでしょうか?(出演:岡徳之 / 写真:Daniel Korpai on Unsplash)
ウェアラブルの新次元「感情測定」
「ウェラブルデバイス」ってあるじゃないですか? 身に着けるコンピュータって言われる、例えば「Apple Watch」とか。
心拍数とか、歩数とか、スマホと連動させて測って、「健康を管理するためのツール」ということで人気なんですが。そんなウェアラブルデバイスが今、新たな次元へとシフトしつつあるようなんです。
どういうことかというと、「ムードトラッキング」。ユーザーの「感情」を追跡する機能が登場してきているんですね。健康、つまりからだだけでなく、感情、こころの状態を測って、管理しようと。
すでに、この8月25日にスマートウォッチの「Fitbit Sense」、27日にAmazonのフィットネスバンド「Halo」、そして、31日には「Upmood」。続々と、この「ムードトラッキング機能」を搭載したウェラブルデバイスがリリースされているんです。
人の感情をどうやって"測る"のか?
では、どうやって人のムード、感情を測って、管理するのか? まず、スマートウォッチの「Fitbit Sense」。
ウェラブルデバイスではお馴染みの、心拍数を計測する機能に加えて、心電図、皮膚の温度センサーを搭載しています。
さらに、ユニークなのが「皮膚電気活動センサー」だそうで、手のひらにかく汗、精神性発汗を計測して、その人のストレス状態を測るんだそうです。
その汗のデータだけでなく、これまで同様、運動の量、睡眠の記録も行って、それらのデータを組み合わせて、こころとからだ、両方をサポートしてくれるんだとか。
有料のサブスクリプションサービスでは、メディテーション=瞑想のガイドセッションを提供してくれたり、健康状態のスコアを出して、そのスコア別に、ストレスの対処をアドバイスしてくれるそうです。
「手首の脈」「人の声」からも計測
次に、順番は前後しますが、「Upmood」というデバイス。これも、Fitbitと同じく、腕につけて使うデバイスで、こちらは香港発です。
さっきのFitbitは手汗、でしたが、Upmoodは手首の脈を計測します。
脈のデータを光学式心拍センサーで収集して、アプリで分析。すると、11種類の感情ーーPleasant、Happy、Sad、Excitementとか、そのときの感情を抽出して、可視化してくれるそうです。
そして、そのときどきの気分をカレンダーで振り返ったり、そうしたユーザーの気分の傾向を学習したAIが音楽プレイリストを作ってくれたり、あとはそのデータを、誰かとのグループや恋人と共有したりする機能もあるんだそう。
そして、最後が、Amazonのリストバンド「Halo」。Haloもユニークなんですが、これは「人の声」に着目したデバイスなんです。
リストバンドに2つのマイクが内蔵されていまして、それでユーザーの声を収集します。
その声のピッチとかテンポ、リズムなんかを分析して、「今日のあなたの声のトーン」をグラフで表示。時系列で、Happyだとか、Worriedとか、Boredとか、ムードを振り返ることができると。
自分の声を客観視すると、自分の声や言葉が他の人にどう聞こえているかって分かりますから、円滑なコミュニケーションも助けてくれるかもしれませんね。
ムードトラッキング、活況の背景と課題
今、コロナもあって、人と会う機会が減っていたり、そういうことで孤独とか、メンタルヘルスを崩す人が増えているっていうのが、社会問題になっていますし。
一方で、ウェアラブルデバイスで、どこまで正確に人の感情を測れるの?とか、そのデータ、どの企業が、どんなふうに使われるの?とか、なかなか払拭が難しい問題もあるんですが。
ウェアラブルデバイスで、自分の感情を測る、みなさんどうでしょうか?
編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。
読んでいただき、ありがとうございました。みなさまからのサポートが、海外で編集者として挑戦を続ける、大きな励みになります。