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ポータブル赤道儀|#2|選び方と使い方の基本

ポータブル赤道儀のお話です。ほぼ連続ですが、今回はポータブル赤道儀の選び方と使い方の基本についてお話します。

星の動きを追って、長時間露出で星を点に撮影するには「赤道儀」が必要です。元々は天体望遠鏡の架台の一種なのですが、カメラ用に赤緯軸を省略し、追尾機能だけに特化した小型の機材が売られています。それらを「ポータブル赤道儀」略して「ポタ赤」と言います。「コンパクト赤道儀」「コン赤」とも呼ばれるようです。

前回、「ポータブル赤道儀はなぜ必要か?」というお話をしましたが
追尾撮影をすると、固定撮影では得られない、星が数多く輝く綺麗な星空を撮ることが出来ます。固定撮影に慣れてきたら、是非チャレンジしてみていただきたい撮影方法です。

1.一覧とお薦め

機種選びではコンパクトさ重視なのか追尾精度重視なのか、という視点で変わってくると思います。中にはデザインやブランドにこだわる方もいらっしゃることでしょう。最近はタイムラプスにも使えたりと多機能なものも揃ってきました。まあもちろん好きに選んでいただければ良いのですが、簡単にお薦めも少し紹介しようと思います。

星景写真では、広角、超広角で1分、2分程度の追尾しかしない場合が多いと思います。そのような場合は追尾性能に問題はなく、その他の要因(大きさ重さ、機能、デザイン、C/Pなど)で決めれば良いかと思います。

現在出回っている主なポータブル赤道儀 2020/05/10

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CD-1やSWATにはいくつかシリーズがありますが、代表として1つだけ載せてます。このほか5個くらい入れてたんですが、確認して、製造終了のようなのは外しました。MusciBOXEQIIやSWAT-miniは、ゼンマイ(オルゴール)が動力源で、電源いらずで良いと思ってたんですけどね。

①コンパクトさ重視の場合
本来、気軽に持って行くために作られたのですから、 コンパクトさを重視するのは当然と言えます。私も使用しているナノトラッカーがお勧めと言えましょう。

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欠点はコントロールボックス(電池)が別ということ、若干わずらわしいです。ビクセンのポラリエも十分コンパクトな製品です。

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欠点はやや割高なこと。新型のポラリエが出て、少し安くなってるかも知れません。

ただし、これらのコンパクトタイプは、フルサイズのカメラに重いレンズの組み合わせでは強度不足となってしまいます。APS-C以下やミラーレスなら(重すぎないレンズなら)十分お薦めできます。

②追尾精度重視
望遠レンズで撮影できるだけの追尾精度を求める場合、追尾精度が問題になります。ウォームホイルの歯数の多さ、最大搭載重量が大きさが目安になります。まあ、あくまで目安ですけどね。極軸望遠鏡の有無も問題です。ユニテック社のSWATシリーズやTOASTの TP-2などが候補になります。これらは35度カットのボディも美しいですよね。

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③バランス重視
大きく重く高いのは嫌だけど、強度に問題あるのも困る、という場合、バランスから言って、今、推奨出来るのは、私も使ってるスカイメモTかなと思ってます。

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こちらはタイムラプス雲台としても使えます。またレビューでお話します。新しくビクセンから出たポラリエUも良さそうです。お値段高めなのを気にしないのであれば、おそらく(使ってないのでなんとも)良いのではなかろうかと思います。

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2.使い方の基本

ポータブル赤道儀を使うには。「極軸合わせ」と「各種の設定」が必要になります。機種ごとに違うので、使用にあたっては各機種の説明に従ってください。

1、極軸合わせ
星を追尾するための回転テーブルがあり、この回転テーブルの中心軸と星の動きの中心軸を平行にする作業です。この作業によって、星のスピードに合わせた回転だけで星の動きに合わせることが出来ます。

具体的には、方位と傾きを合わせる必要があります。方位は真北、星の動きの中心である天の北極(北極星の近く)の方向です。傾きはその地点の緯度です。私の住んでいるあたりだと35度です。日本ではだいたいそれでいいんですが、北海道や沖縄など、緯度が大きく違う地域では合わせる事が必要です。しょっちゅう遠くへ旅行する人でなければ、傾きは固定でも大丈夫です。

北極星がわからない、という方は、さすがに星景写真をやるなら北極星くらいは覚えましょう。よく出てくる小学生レベルの北極星の探し方はこちらです。北斗七星のひしゃくの先の二つの星を結んで、その距離を5倍した付近にあります。

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赤道儀を傾けるための下の雲台は、コンパクトさや安定感を考えた場合、出来れば簡易なものにしたいです。私はナノトラッカーでもスカイメモTでも、35度に傾いたアングルプレートを付けているだけです。これで大幅に簡略化され、小さく軽く、低く、バランスも良くなります。詳しくは機種のレビューの時にお話します。

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広角、超広角のレンズを使って、1分とか2分くらい露出するのが一般的だと思いますので、そういう場合は少々ずれていても構いません。そういう使い方しかしない場合は、「極軸望遠鏡」は不要です。だいたいで良いんです。

これ、結構、大事な話です。「極軸合わせはしない」とまではさすがに言いませんが、初心者ほど、真面目に高い極軸望遠鏡を買い足して、きっちり合わせようとします。私は極軸合わせの時間は2秒程度です。三脚の水平もだいたいでOKです。よっこらショ、とだいたい北極星の方を向けて終わりです。まあ、慣れないうちは通し穴に北極星を入れるくらいの事はやりましょう。

もちろん、長めのレンズを使う時は、もう少しちゃんとやりますし、望遠を使う時などはある程度きっちり合わせます。それでも結局、極望は使ってません。

ちゃんとした赤道儀のセッティングをやる場合、微調整がきく専用の微動雲台やギア雲台が楽でおすすめです。

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2.種々の設定
簡易な機種と本格的な機種では色々と変わってくるのですが、基本的には日本で普通に星空を撮る場合でも、以下の設定は必要になります。設定は一度行えば、条件が変わらない限りそのままで大丈夫です。

恒星追尾(月や太陽の追尾は普通はやらないでしょう)
北半球設定(南半球では回転方向が逆)

星景写真用の0.5倍速というのもありますが、私は1度も使った事はありません。言い方は悪いですが、星も風景もブレるという設定です。あまりお薦めは出来ないですね。

3.起動と終了
起動方法は機種によってさまざまです。基本的にはスイッチを入れるだけですが、スカイメモTのように、スマホで初期設定が必要なものもあります。ちょっと面倒ですが、一度設定しておけば良いだけです。本当に動いているのかどうか不安なので、私は耳を当てて音を聞きます。雑にやると結構、動いてなかったり、途中で止まってしまったりしますよ。

詳しい説明は各機種のレビューでやりますね。




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