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エッセイ 恐るべきトランピズム

 以下の文章は政治の素人の戯言としてお読みください。

 78歳という高齢で、アメリカ合衆国の大統領をこれから4年務め、それだけにとどまらず世界のリーダーであろうとするその気力、バイタリティには敬服するし、前回にもまして、我々の予測を遥かに上回る奇抜な政策には驚かされる。しかし、アメリカの有権者の半分強の得票数を獲得しているのだから、我々には手の出しようがない。あとはドナルド・トランプという人間の人となり、とその考え方、トランピズムというものを懸命に勉強して、理解を示しつつも、正すべくは正すように、話し合いに持っていくしかないのではないか。できればトランプ氏が次にどういう行動を起こすかを予測し、先回りして手を打てるようになれば一番いい。(安倍晋三氏にはそれがある程度できていたのだろう。ともに保守の強権派だから)
 私が考えるに、トランプ氏の思考方法はふたつのうちのどちらかだと思う。ひとつは経済優先主義。もともとビジネスマンのトランプ氏は、アメリカの国益になることをとにかく優先する。損になることはしない。もし損になることがあれば、得になるように力づくでも捻じ曲げてしまう。もうひとつは、戦争抑止力としての強いアメリカの復活を目指しているというものだ。中国でもロシアでも、とても太刀打ちできないと思わせるほどの強大な軍事力と経済力を持つことによって、戦争を起こさせないという考えだ。かなり無理もあるし、危険な考えであるが、国連が機能していない状況では、一番現実的な方法であろう。問題はトランプ氏にどこまで世界平和を願う気持ちがあるか、である。
 後者であった場合に、日本製鉄とUSスチールの買収問題を考えると、鉄鋼は武器を作る上で必要不可欠のものだから、その中心的企業を、たとえ同盟国とはいえ、日本が買収するのは認めないだろう。いくら経済的メリットを説いても無駄だと思う。
 これらはすべて、トランピズムを理解した上でないと、話が噛み合わないだけだ。トランプ氏の気持ちを先読みして、買収問題にOKを出させるためには、いかに日本製鉄が、あるいは日本が、武器作りにどれだけ貢献するかに関わって来るのではないか。そうすると言わない限り、トランプ氏は首を縦に振らないだろう。日本としては苦しい選択である。強引に買収すれば、またとんでもない報復が待ち受けていることだろう。

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