ドームハウス
初めて中に入った時の開放感は、今でも忘れない。
玄関室から扉を開けると、いきなり天井まで続く吹き抜け。
そもそも壁と天井の堺が曖昧で、どこまでが壁でどこからが天井なのかはっきりしない。
その一体感を持った外部との仕切りが、床から緩やかに弧を描き内側に傾斜しながら、天井の中心に向けて高く伸びている。
それが初めて入ったドームハウスだった。
あれから十数年が経ち、まさか自分が、年間数棟のドームハウスを手がけるビルダーになるとは予想もしなかった。
ここ数年仲間と共にドームハウスの開発を進め、知識も技術も徐々に進歩してきた。
今では、構造計算はもちろん、ドームハウスで確認申請も取ることができる。
また国産の桧をフレームに使い、自社工場でのパネル製作、内部の軸組から現場での仕上げまで、全て自社の職人で行えるようになってきた。
大学との共同試験も今年で4年目を迎え、毎年成果が挙がっている。
初めてドームハウスの施工に関わったのは、今から7年ほど前。
友人が、アメリカからドームハウスのキットを輸入、その組み立ての仕事を頼まれたのがきっかけだった。
直径12mほどのドームハウスだったが、この経験が今でも生きている。
その工事中、とある設計士が見学に来た。
彼は隣町の住人で、自宅のドームをセルフビルドで建てたという筋金入りのドームハウスフリークだった。
その後彼と一緒に仕事をするようになり、今建てているドームハウスは全て彼の設計に拠る。
写真は、初めて自社でフレームから作り仕上げた直径14mのドームハウス。
ここから全てが始まった。
今、八ヶ岳周辺には、年間数棟づつドームハウスが建っている。
八ヶ岳から全国へ、ドームハウスのムーブメントを起こせるか。
私たちの努力が必要なのはもちろんだが、ドームハウスはその魅力を十分持っていると思っている。