「葬送のフリーレン」と自然言語プログラミングZoltraak--魔物を殺す攻撃魔法とは
こんにちは!
ノーリーです。ChatGPT使ってますか?
これから、自然言語プログラミングのZoltraakと、「葬送のフリーレン」のZoltraakという魔法の関係と、そこから示唆されることをお話しますね。
今生成AI界隈で注目を集めているZoltraakの名前は、「葬送のフリーレン」という漫画・アニメ作品がもとになっていることをご存じですか?
この記事は、大阪のIT専門学校「清風情報工科学院」の校長・平岡憲人(ノーリー)がお送りします。
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1.2つのZoltraak-魔物を殺す攻撃魔法とは
葬送のフリーレンを25話まで見た。
葬送のフリーレンは、生成AIを活用した自然言語プログラミング「Zoltraak」の命名のネタ元である。生成AIを魔法に見立て、その魔法を意のままに言葉であやつることを「自然言語プログラミング」とみなし、生成AIの操り方をまとめた要件定義書を魔導書、起動パラメータを呪文とし、総体を攻撃魔法Zoltraakに例えているものと想像される。
葬送のフリーレンにおいてZoltraakは魔物により「人を殺す魔法」として開発されたが、ほどなく人間側がそれを取り入れ改良し、今では人間が「魔物を殺す攻撃魔法」として普及するに至ったと描かれている。いろいろ邪な思惑含みで生み出された生成AI(人を殺す魔法としてのZoltraak)を、人間側が受け入れ改良したのが自然言語プログラミングたるZoltraakということなのだろう。
もっとも、「葬送のフリーレン」を現実社会に投影する場合、注意すべきことがある。「葬送のフリーレン」では、魔物は人の言葉を操るが、その言葉は人を騙すために使われ、心がなく、共存不能な相手として描かれている。この見立ては極めて正しい。我々日本人は素朴で思いやりがありやさしい人々で、そんな我々にとって言葉を巧みに操って我々を陥れるものこそ本当の敵だからである。
魔物は常に力を誇示し、周りを威圧し、弱いとみなしたものを侮って生きている。このあたりの描写は原作者の山田鐘人の洞察だ。主人公のフリーレンは、師匠のフランメから、魔物を陥れて戦うという戦略を与えられる。自分の力を隠し、魔物に警戒させず、油断した魔物をたたいて確実にしとめるためである。アニメ版ではエピソード7の後半からエピソード10にかけて、描写されている。
さて、生成AIのZoltraakに戻ると、生成AI世界においても、魔物と人間の対立がある。これは特定の国や特定の人物の間の対立という見立てもできるし、人の心の特定の傾きの間の対立とも言える。簡単に言えば、善悪の対立である。「葬送のフリーレン」が示唆していることは、むき出しの悪だけでなく、善を装った悪に要注意ということである。「人の言葉を操るが、その言葉は人を騙すために使われ、心がない」、こういう魔物に取り入られないように進もう。
生成AIの開発のメッカは現在、アメリカと中国である。どちらかが人間側でどちらかが魔物側。これは魔物の性質をどちらが色濃く持っているか比べればよいだろう。アメリカにおいても、この善悪の勢力は入り乱れている。OpenAI社の内紛は同根である。ユダヤ教においても対立は内臓されている。西洋世界は一神教文化なので、善悪の対立は日本人の想像以上の衝突となる。
我々日本人は、主人公のフリーレンのような長寿の国家に暮らし、淡々と生きている。エルフの数が激減しているのは、まっとうな日本人の減少を示唆していると考えるべきだ。そんな中で生まれてきた自然言語プログラミングのZoltraak。これが「魔物を殺す攻撃魔法」となるか「人間を殺す攻撃魔法」になるのかは、我々日本人にかかっている。古来の我が国の存続、そのための魔物の掃討は、これを修得するよき魔法使いたる生成AI使いのひとりひとりにかかっているのである。
2.自然言語プログラミングZoltraakとは
(1)概論
日常語に翻訳すると、ようするにこういう事である。
Zoltraakは、魔法使いが呪文を唱えるように自然な言葉でコンピュータプログラムを作成できる画期的なシステムだ。
従来のプログラミング言語では、複雑な文法や記号を使ってプログラムを書く必要があった。その文法は主に英語の文法であった。しかし、Zoltraakでは日常会話で使うような日本語でプログラムを作ることができる。
例えば、「パソコン内の画像ファイルの中身を調べてキャプションをつける」という希望を伝えると、Zoltraakはその言葉を解析する。そして、画像認識技術を用いて画像の内容を理解し、適切な説明文をつけるシステムの設計書やプログラムを自動的に生成する。
また、「ある商品をアピールするホームページをつくる」という希望の場合は、Zoltraakは、その商品の特徴や利点を理解し、魅力的なWebサイトのデザインとコピーを自動的に生成する。
さらに、「インバウンドの外国人に売れる商品の企画をつくる」という希望なら、Zoltraakは外国人観光客のニーズや嗜好を分析し、それに合った商品アイデアを提案したり、それができるシステムを生成する。
Zoltraakは、短い要求(呪文)から複雑なシステムを素早く生成することができる。その途中で従来のプログラミング言語(古代システム語)によるシステムも生成される。これらを魔法の設計書である「魔導書」と見立てている。言い換えれば、Zoltraakにより、作業の効率が大幅に向上し、より柔軟で効果的な結果を得ることが可能になるということだ。
Zoltraakは、
プログラミングやデータ分析の知識がない人でも、自然な言葉でコンピュータを操ることができる夢のようなシステムなのだ
という主張である。
もっとも、Zoltraakはまだ開発中のため、上に書いたようなことのすべてができるわけではない。現在できるのは、要件定義書をつくり、それに基づく設計書を作ることころまでである。設計書に基づいてシステムを生成する部分は開発中である。但し、システムの生成に必要なプログラミング言語「niwatoko」まで、作者は開発している。システム生成が達成されるのにそれほど長い開発時間がかかることないと、筆者は考えている。
難しいインストールなどをすっ飛ばして、手っ取り早く使ってみたいという方は、こちらを利用するとよいだろう。Xユーザーの ダイブツ(@habatakurikei)さんによるZoltraakのWEBアプリである。
使い方はこちらから。
(2)最新情報の獲得方法
Zoltraakの開発は現在進行中である。
作者の元木氏も、開発に夢中で腰を据えて説明する余裕はないようだ。
インターネット上でもあまりのことに解説記事もほとんどない。
本人はX(Twitter)上で毎日50ツイートくらい発信しているので、これを追うのが一番である。
そして、Github上に公開されているZoltraakのREADMEを読むのがよいだろう。
・解説記事
・元木氏のTwitter
・Github
解説部分 https://github.com/dai-motoki/zoltraak/blob/main/README.md
(3)niwatoko 言語について
niwatoko言語は、Zoltraakの作者である元木氏が、Zoltraakによるシステム生成のために生み出した日本語プログラミング言語である。生成AIの機能を活かして、日本語でプログラミングができるようになっている。
「ニワトコ」というのは、ニワトリがトコトコ歩いているという意味ではない。元木氏の魔法メタファーに基づき、魔法使いがもっている魔法の杖のことを指している。
まじめに解説しておくと、「にわとこ」というのは木の名前である。日本での古名はミヤツコギ(造木)と称されており、平安時代の本草書『本草和名』に「接骨木、和名美也都古木」とある(Wikipedia)。野山に適当に生えている木で、かつては骨折した時の添え木に使ったらしい。
もっとも、命名の根拠は添え木ではなく、こちらである。
ようするに、魔法(生成AIによるシステム)を生み出せる杖、中でも最強の杖、これすなわち「ニワトコの杖」ということである。
(4)コンピュータ言語としてのniwatoko 言語の特徴
niwatoko 言語は、自然言語プログラミングを実現するためのPython言語である。niwatokoはシェルで使用する自然言語プログラミング言語である。Pythonと同等の機能を提供しつつ、より直感的で読みやすいコードを書くことができる。
実際にはこのように厳密に書く必要はなく
というような書き方で、繰り返しが表現できる。
こういういい加減な書き方ができるのは、niwatokoは生成AIを通して、Pythonに変換されるからである。Pythonのプリプロセッサの一つであるが、動作させる際に、Claude 3 Haikuなどの生成AIがはさまっているのが新しい。最終的にPythonのプログラムになり、各自のマシンで実行される。
言い換えれば、niwatokoが昔のC言語などの高級言語に相当し、Pythonが昔のアセンブラに相当し、高級言語とアセンブラの間のコンパイラが生成AIだということだ。
3.葬送のフリーレンとは
『葬送のフリーレン』は、山田鐘人による日本の漫画作品である。概要は以下の通り。
週刊少年サンデーにて2020年2号から連載中。ファンタジー冒険漫画。すでにアニメ化されており2023年9月から放送開始されている。
かつて魔王を倒した英雄の一人であるフリーレンを主人公とし、彼女の旅を描いた物語。
フリーレンはエルフの魔法使いで、人間とは異なる長い寿命を持つ。魔王を倒した仲間たちが次々と死んでいく中、彼女は旅を続ける。
旅の中で新たな仲間と出会い、様々な経験を積む。死と向き合いながら、生きることや人生の意味を模索していく。
独特の世界観と哲学的なテーマ、感動的なストーリー展開が特徴。生と死、友情、孤独などの普遍的なテーマを深く掘り下げている。
アニメの公式サイトは次の通りである。
古き時代を生きるフリーレンの視点から、人生の本質に迫る感動作として多くのファンを獲得している。ファンタジーでありながら、現代人にも通じる普遍的なメッセージ性が高く評価されている作品と言える。
アマゾンプライムビデオをはじめ、様々なオンライン媒体で配信されている。
ちなみに私は、アマプラ(Amazon Prime Video)で見た。
生成AIはすでに人知を超えたレベルにたどり着きつつある。SFなども見ておかないと、未来を予測したり、システムの方向性を予想するのが難しい。何といっても、生成AIでシステム開発している開発者たちが、SFを参考に開発しているのだから、元ネタは見ておくのがいいだろう。
4.まとめ
この記事では、自然言語プログラミングシステム「Zoltraak」と、漫画・アニメ作品「葬送のフリーレン」に登場する攻撃魔法「Zoltraak」の関連性について考察してみました。
Zoltraakの名前は、「葬送のフリーレン」の攻撃魔法に由来しています。作中では、Zoltraakは最初、魔物が人間を殺すために開発したのですが、後に人間がそれを改良し、魔物を殺す魔法として使用するようになりました。これは、生成AIの発展と人間による活用を象徴しているのではないでしょうか。
Zoltraakの画期的な点は、日常会話で使う言葉でプログラムを作成できることです。プログラミングの知識がなくても、自然な言葉でコンピュータを操作できるようになる可能性を秘めています。
また、Zoltraakの開発にはniwatoko言語が使用されていますが、これは生成AIを通してPythonに変換される日本語プログラミング言語なのです。
「葬送のフリーレン」は、生と死、友情、孤独などの普遍的なテーマを扱ったファンタジー冒険漫画ですが、生成AIの発展を考える上でも参考になる作品です。
生成AIの発展には善悪両面の可能性がありますが、それを適切に活用していくことが重要で、そのカギは日本人であるあなたが握っています。また、SFなどの作品を参考にすることで、生成AIの将来像をより深く理解できるのではないでしょうか。
清風情報工科学院では、「全国AIアート甲子園」を開催中。
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