最好映画。 158 「博士の異常な愛情」 1964年。
「ダイ・ハード3」で、ウォール街に秘密があることがわかった時に効果的に流れる「ジョニーが凱旋する時」。戦争時代の流行歌でもあり、民謡でもあり、高揚感のある割には歌詞が皮肉に満ちている不思議な曲です。これがものすごく効果的に流れた映画あったよな、と思い出したのが、スタンリー・キューブリック卿が生み出したブラックコメディの怪作「博士の異常な愛情」。お話は、冷戦真っ只中の時代。強迫観念に囚われた空軍司令が基地を封鎖してソビエトへの核攻撃を勝手に命令してしまい、その解決に走り回る軍人たちの右往左往です。ほぼ男性しかいないキャストの中に突然水着の美女は出るわ、イギリス将校をものすごく皮肉ったキャラクターを演じているピーター・セラーズが気弱な米国大統領を演じていたり、核爆弾に乗ってカウボーイさながら落ちていくシーがあるわで、破茶滅茶なんです笑。キューブリック卿の後の作品のような美的にすごいところがたくさんあって、ちょっと見方にコツが要ります。この後で「2001年宇宙の旅」を監督したとか、世紀の名監督とか言うのちの情報を全く忘れて観ないとコメディには全く見えません。お話と、登場人物の狂いさ加減に笑い始めるのが、コカコーラのくだりだと、もう映画終わっちゃいます。何を隠そう、わたしは初見はコメディとして観れませんでした(;_;)コメディとして観直したらこんなに凄い作品はありません。冒頭の空中給油にかかるクレジットの楽しさはパプロ・フェロだし、撮影は後に「スター・ウォーズ」を手がけるギルバート・テイラーだし、当時世界最高峰だった東宝特撮映画へのオマージュはあるし、「ジョニーが凱旋する時」の編曲で全ての劇伴(サントラ)は組まれているし、エンディングのヴェラ・リン「また会いましょう」における皮肉と来たら!怪作中の快作です。タイトルの本当の長さとかどうでもいいっす!笑 名画のコーナーにはありますよ!
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