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最好映画。 110 「ブルーベルベット」 1986年。

これがデヴィッドリンチ先生の初体験。渋谷のシネマライズで評判だという触れ込みで観に行きました。それまで観ていた全ての映画の倫理観を強烈にひっくり返された映画。「時計じかけのオレンジ」だとか「愛のコリーダ」だとか一種フツーでは観れない映画というのがありましたが、それより卑猥で気味の悪い映画が、渋谷のど真ん中で満席というだけで吃驚仰天な体験でした。お話は相当真っ当な人にしか見えない青年が異常な状況に付き合わされて、大混乱の中で彼女を得て幸せに暮らすという、無茶苦茶な話。一度その闇の世界を見たら、真っ当ではいられないという暗喩で終わってしまって、呆然と劇場を出た記憶があります。カイル・マクラクランがその端正な顔立ちで好青年を演じているんですが、実際何考えてるかわからないw。ディーン・ストックウェルが「インドリームス」を歌い上げている最中にヤジを飛ばすデニス・ホッパーが、最強に、最高に強いです。でも、個人的に怖かったのは、イザベラ・ロッセリーニがいきなり裸でアザだらけで玄関先に立ってカイル・マクラクランにすがる様を見たローラ・ダーンの顎が落ちるんじゃないかというその表情でしたけどw。撮影はフレデリック・エルムス。リンチ先生が不思議なのは、カメラマンが変わっても、その耽美なルックが保たれていること。「ツイン・ピークス」もてっきりフレデリック・エルムスかと思ったら違いましたし、DVビデオで自ら撮影した「インランドエンパイア」でもルックは変わらないので、これはリンチ先生の技量なんだと大分後になって気付きました。カメラマンイコール作品のルックなんではなくて、妄想の上で成り立ったビジュアルを再現できるのは妄想している本人でしかないということですね。その後に続くリンチワールドから考えれば、えらく筋立てのちゃんとした映画なので、初めて観るにはオススメです。「ロストハイウェイ」とか先に観たら、きっと戻ってきてもらえないんではないかと思いますw

サスペンス映画なのですが、アクション映画なみの体験です。


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