データ主権 vs 巨大プラットフォーム：民主主義の未来を守れるか？
気がつけば、データ主権と民主主義について考える日々が続いています。
オーストラリアでSNSが禁止されたニュースを聞いたとき、驚きと共に、時代の変化を肌で感じました。また、アメリカではTikTok禁止の議論が繰り広げられ、司法省がGoogleにChrome事業の分離を求める動きもありました。
これらは単なる規制問題にとどまらず、データの支配権を巡る国家と企業の攻防、さらには民主主義の健全性に深く関わる問題だと、私は思います。
SNSの影響力がもたらすもの
SNSが私たちの生活に浸透して久しいですが、その影響力があまりにも大きいことに改めて驚かされます。選挙活動や政治キャンペーンにおいてSNSは有力なツールとなり、時にはその力が不正利用されることもあります。
たとえば、2016年のアメリカ大統領選挙やBrexitの国民投票で見られたフェイクニュースの氾濫。これにより、有権者が誤った情報に基づいて判断を下すリスクが露呈しました。また、アルゴリズムがユーザーに特定の情報だけを提供することで、意図的か否かにかかわらず、社会の分断が進むケースもあります。いや、意図的ならば、その命令者を排除すれば済むのかもしれませんが、意図的でない動きが、社会を動かし得るという危険が、もうそこまで来ている気がします。
さらに、SNSプラットフォームが国家の規制に従わないことも増えています。億単位の利用者を抱えるこれらの企業は、国家の法律を超越し、自らのルールで世界を動かしているかのようです。これは、国家の主権に対する重大な挑戦といえます。
海外クラウド依存の危うさ
もう一つ、私たちが直面している問題。それは、自国の重要データが海外企業のクラウドに保存されていることです。多くの企業や政府機関がAmazon Web Services（AWS）やMicrosoft Azureなどに依存しており、これによりデータが海外の法律や規制に晒されるリスクが高まっています。
たとえば、アメリカのCloud Actは、特定の条件下で海外のデータにもアクセス可能な法律です。このような状況は、国家安全保障や経済競争力を脅かす要因となります。
また、海外クラウド依存により、サービスの突然の停止やコストの急騰といったリスクも常に存在します。データ主権を守るためには、これらの依存状況を見直すことが急務です。
どうすればデータ主権を守れるのか
では、私たちはどうすればデータ主権を確立し、民主主義を守ることができるのだろうか。
国内データセンターの整備 国内でのデータ保管を強化するために、国家ないし、日本企業が管理するデータセンターの設置が必要となるだろう。これにより、物理的なデータ主権の確立が可能となる。
SNSやクラウドサービスの透明性向上 アルゴリズムの開示を義務付けたり、フェイクニュース対策を強化する規制が求められます。また、ユーザーのデータ利用状況についても透明性を持たせる必要があります。情報開示義務の適切な運用が日本では大きな鍵を握る気がします。とかく、「空気」が支配するこの国だからこそ。
国際協調の推進 データ主権は一国で完結する問題ではなく、国際的な協調が欠かせません。特に、データ移転やプライバシー保護に関するグローバルな基準作りが重要です。一方、欧州初のGDPRなど、自国（自エリア）を第一に考えた規制は、ビジネス全体をみた場合には、効率性を阻害する部分もあり、生産性と保護の両立をどう築いていくかが論点となっていきます。
デジタルリテラシーの向上 市民がSNSやデジタルツールを正しく理解し、誤情報に惑わされないための教育が必要です。これにより、健全な社会の形成が期待されます。
民主主義を守るための覚悟
私たちは、データ主権の確立が民主主義の存続に不可欠であることを認識する必要があります。データが国家を超えた巨大企業に支配される現状を放置するならば、民主主義の基盤そのものが揺らぐ可能性があります。
デジタル時代において、情報とデータは新たな「資源」として扱われています。金に代わる資源。オイルに代わる資源。
この資源をどのように管理し、守るのかは、私たちの未来に大きく影響します。データ主権と民主主義を守るために、新しいイノベーションが必要です。この地球規模の課題に取り組む事業を生み出す必要がある。
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