MD trajectoryから系内の自由度の確率分布を生成する方法
MD計算によって得られたtrajectoryを解析する際,単に系内の自由度に関する平均や分散を求めるだけでなく,確率分布を求めたいという場合もあるかと思います。やり方はいろいろとあると思いますが,そのうちの一つを紹介します。
解析対象の自由度が複数ある前提で
と表現することにします。sは系内にあるN個の原子座標の関数です。
sの確率分布P(s)は
と表すことができます。ここでは,δ関数⇒ガウス関数,及び時間に関して離散かつ有限和の近似を行っています。Δsをより小さく and/or Δtをより小さく and/or Nを大きくすることで精度が良くなる性質があります。
上記のような表式を頻度分布の代わりに採用するメリットとして,分布形状がスムーズになること以外に解析的に微分できることが挙げられます。
参考文献
1. Mark E. Tuckerman, Statistical Mechanics: Theory and Molecular Simulation, Oxford University Press, USA, 2010.