花をもたせる巧妙
先日、インスタのリールを仕上げる際に浮かんだ曲名がわからず…ずっと考えて浮かんだ題名を片っ端から検索するも、どうにもこうにも思い出せなかったのです。
多分…いや、絶対に知っている人がいるのです。それは母です。どうしよう…電話で訊いてしまうのは簡単だけど、あと少しで思い出せそう!とも思っていたので少し別なことをしながら「あれかな?」「これかな?」と頭の中が忙しかったのです。
もう観念して母に電話をしました。
元気そうな声が嬉しかったのが正直なところです。
「お母さん、身体の具合はどう?」
「うん。そうね、少しずつだけど食べられるようにはなっているから大丈夫よ」 母は私が気にかけていることが嬉しいらしく、声のトーンが上がったようでした。
「あのさ、お母さん…この曲なんだっけ?」私はそう伝えて鼻歌で曲を奏でました。
「あ!それは『ボレロ』よ!昔、バレエを観に行ったでしょ?あんた覚えてる?」 再び彼女の声のトーンが上がりました。
「うん。覚えてるよ~!高校生の時だったなぁ…」
私の母はとにかく私を美術館、博物館、お芝居、バレエ、コンサート(谷村新司)、ディナーショー(梓みちよ、堀内孝雄)…何ともマニアックなチョイスではありますが、五感で感じることを徹底して教えてくれました。
特に音楽に関しては筋金入り。朝からカーペンターズが台所には流れています。あとはレターメン(ここはかなりのコアな領域ですので、お時間あればググってね♪)とにかく何かしらの曲が流れていました。※夕飯時も同。
「お母さん、『ボレロ』もそうなんだけどね…私の今の仕事に全部必要なことだったんだなぁって思うの。ありがとう♡」
「何にもあんたにはやってやれなかったからね…私も一緒に行けて良かったよ」
曲名を訊いたらさっさと電話を切ろうと思っていた自分の胸がチクリ。
しばらく思い出話に花が咲いて、母もどんどん元気になっていく感じがした穏やかな時間でした。
花をもたせる…勝利や功名を相手に譲る。相手を立てるの意。
初めから花をもたせようとは思ってもみなかった今回の件。意図的に花をもたせる機会はいくらでもつくれるように思います。その花はきっと同じ花でも少し小さく蕾も混じっていることでしょう…
私が知らず知らずのうちに母に渡した花はきっと…母と私の思い出と共に、彼女の胸の中で大輪の花が咲いたのだと思った出来事でした。
それはやっと咲いた花。散ることはない花です。
たくさんの愛をこめて
Share the love♡Nori