安売りは悪だ
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「安売りは悪だ」について説明します。
最近、色んなものが値上げされていますね。
TVなんかではこの値上げを取り上げて大変だとか言っています。
このため、経営者の中にはいかに安く売るのかを考える人もいらっしゃると思います。
しかし、安売りをしても良いことはなにもないと思います。
簡単な例をあげます。
一般的に、会社の経常利益率は10%あれば優良企業といわれるようです。
ここで、仮に経常利益率が10%の会社が商品又はサービスを10%引きにしたら、単純計算ですが利益は0%になります。
しかも、消費者は10%くらいの値引きにはあまり反応しないと思います。
結局、会社の体力だけがなくなっていき、成長に欠かせない社員教育、製造設備の更新、宣伝広告、新製品の開発といった投資にお金を回せなくなります。
優秀な人材もいなくなり、会社はじり貧になっていくのではないでしょうか。
一方、5%でも値上げができれば、これも単純計算ですが経常利益率が15%になり、利益が値上げ前の50%増になります。
そうすると、成長のための投資ができ、給与も上げられるため優秀な人材が定着します。
いいことだらけですね。
実際には、こんなに単純ではないでしょう。
しかし、経営者は安く売るよりも、いかに高く売るのかを考える方がよっぽど良いと考えます。
とはいっても、単に値上げしただけでは消費者が逃げてしまうおそれがあります。
そこで、何らかの付加価値を付ける必要があります。
例えば、パッケージを変えるという手があると思います。
一流のシェフが作った料理を綺麗なレストランで食べるのと、路地裏で紙皿に盛って地面に座って食べるのとではどちらが美味しく感じるのかということです。
知的財産に絡めていいますと、この付加価値が技術的なことであれば、特許を取得することで他社の参入障壁を作ることができます。
私が過去の記事であげている、歯ブラシのシステマが良い例です(私が愛用している歯ブラシでもあります 笑)。
このシステマ、現在は約200円で売られていますが、特許が維持されていた間はずっと300円で売られていました。
上記の経常利益率で考えると、かなりのドル箱商品だったと思います。
付加価値がデザインであれば、意匠登録をしてそのデザインを保護するものアリです。
特に単純な構成のもので、その外観なしではその製品が成り立たないようなものは、意匠登録をすることで、高い参入障壁を得ることができます。
さらに、意匠権を維持するために毎年納付する登録料(年金)も、意匠の場合は割安です。
他の付加価値としては、ブランドもあるでしょう。
このブランド、言い換えてみれば知名度なので、そのブランドを商標権で保護するとともに、プレスリリースなどで積極的にメディア展開していくことが有効と考えます。
ユーザーは、知らない会社の製品よりも、多少高くても知っている会社の製品を買う傾向にあります。
上記のパッケージも商標権で保護することが可能です。
さらに、人は高いものほど高級品と認識するため、勝手にユーザー満足度も高くなる可能性も否定できません。
また、高いお金を出す人ほど金払いが良く、変な文句も言ってこない傾向にあります。
逆に、安く買おうとする人ほど手間がかかり、赤字になってしまうことが多々あると思います。
80対20の法則というものがありまして、これは上位20%が全体の80%を占めるというものです。
ということは、上位20%の手間がかかる人が全体の80%の面倒なことを発生させていることになります。
付加価値を付けて高値で売ることで、この上位20%の手間がかかる人を減らすことができたら、それだけで会社の経営が安定しそうですね。
いかがでしょうか。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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