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審査官面接をする方が特許査定率が上がる

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 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「審査官面接をする方が特許査定率は上がる」について説明します。
 
 審査官面接とは、文字どおり審査官と出願人(代理人)が面接をすることをいいます。
 特許庁審査官になるための面接試験ではないことにご注意ください 笑
 
 それでは、どういったときに審査官面接をするのか説明します。
 
 特許というものは、出願をしてそこで終わりではなく、その後に出願審査請求、拒絶理由通知に対応する中間対応といったものが必要になります。
 出願審査請求とは、この出願を特許にしたいので審査をお願いしますという、出願人側がする手続です。
 拒絶理由通知とは、こういった理由であなたの出願は特許になりませんよということを、特許庁側が通知する書類です。
 
 この拒絶理由通知、実際は出願審査請求した殆どの出願になされます。
 そして、この拒絶理由通知に対して手続補正書と意見書を提出する中間対応をすることで、一般的に約2/3が特許査定となります。
 
 中間対応において、単に手続補正書と意見書を提出するだけのこともありますが、中には審査官に電話をしてやり取りすることもあります。
 そして、さらに踏み込んで審査官と拒絶理由、手続補正書、意見書について面接をして意見交換をするのが審査官面接なのです。
 
 この審査官面接の利点をあげます。
1.審査官から直接見解を聞くことができる
 当たり前のことを書いていますが、これはかなり重要です。
 審査官は、ここがダメだからという拒絶理由を出しています。
 逆に言えば、審査官が思っているダメなところを解消すれば特許査定になるのです。
 しかし、人の頭の中を見ることはできず、弁理士がする反論がずれてしまうことや足りないことも可能性としてはあります。
 そんなとき審査官から、「ここをこうすれば拒絶理由は(現時点では)解消すると思われます。」みたいなコメントをもらえることがあります。
 
2.中間対応の回数を減らせる
 手続補正書と意見書を提出する中間対応は、1回で終わりとは限りません。
 複数回の場合もあり、その都度中間対応費用が発生して、出願人の負担が大きくなります。
 また、拒絶査定を食らって、審判請求となるともっと多くの費用が発生します。
 しかし、審査官面接をすると、基本的にその場で審査官とやり取りができるため、結果として中間対応を1回が終わることが多くなります。
 結果として、費用を抑えることができます。
 
 一方で、欠点もあるわけでそれを述べます。
1.面接費用がかかる
 先ほど、費用を抑えることができると書きましたが、これは中間対応が複数回のときと比較しての話です。
 審査官面接には工数がかかりますので、やはり追加の費用は必要です。
 この費用、事務所によって異なりますが、例えば弊所ではコロナ過の前は出張日当5万円+東京までの往復交通費でした(加えて、発明者の出張費用もかかりますね。)。
 今は面接をオンラインでしますので、3万円くらいでしております。
 勿論、これとは別に本来の手続補正書と意見書の費用が13万円程度かかります!
 誤解されないようにしてくださいね、弊所はあまり安くないので 笑
 
2.審査官面接してもダメだったときの落胆が大きい
 こちらは精神的なものですが、出願人からすると費用を追加してまで審査官面接をしたのに、審査官の反応がいまいちでダメだったときはガッカリします。
 これは仕方ないので諦めてください。
 
 という感じで審査官面接の利点と欠点を説明しました。
 欠点はあるものの、天秤にかけると利点の方が大きいと思います。
 これはという案件については、皆さまも審査官面接を利用されてはいかがでしょうか。
 
 注意点として、中間対応の期日までに余裕があることが条件です。
 期限ギリギリで面接の依頼をしても、審査官に断られることがあります。
 もっとも、今は無条件で期限の2月延長が可能ですので、これを利用しても良いでしょう。
 
 この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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