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特許出願にはいくらお金がかかるのか

 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「特許出願にはいくらお金がかかるのか」について説明します。

  特許を出そうと思っても、実際いくらお金が必要になるのか、分かりにくいと思います。

 大抵の特許事務所のホームページには料金表が掲載されていませんし、掲載されていても何々費用という項目が沢山あって、結局いくらなの?と思われる人も多いかと思います。

 結論を先に申しますと、最初に行なう特許先行技術調査から特許査定まで、一般的には60~100万円くらいです。

 高いな~、と思われる人もいらっしゃると思います。
 でも安心してください、費用に関するリスクを低減する方法はあります。
 このリスク低減方法は後述しますので、諦めず?に読んでください。

 先に、費用が安くなるパターンと高くなるパターンの内訳を説明します。
 なお、以下の費用は弊所の費用の一例ですが、普通の特許事務所ならどこでも大体同じくらいと思います。

 1.費用が安く終わるパターン
 あまり複雑なものでなく、実施例も多くなく、出願書類の記載量が少ない場合、特許先行技術調査と出願時の費用は、合わせて30万円(税抜、以下同様)くらいですね。
 これに印紙代14,000円が必要になります。

 次に、出願から3年以内に出願審査の請求(審査請求)をするか否か決めていただきます。
 このときの費用が、請求項数によって変動しますが印紙代が15~18万円くらいに、事務所の費用が1~2万円加算されます。
 この原稿を書いている2020年12月現在は、中小企業及び小規模企業等に対する審査請求の印紙代の減免があります。
 減免申請をすると、印紙代が中小企業は1/2、小規模企業は1/3になります。
 すると、審査請求費用は10万円以下になることが多いです。

 次に、審査請求から約1年でなされる拒絶理由通知に応答する中間対応の費用です。
 この中間対応は複数回ある場合もありますが、拒絶理由通知がなく、中間対応自体がない場合もたまにあります。
 この中間対応がなければ、当然に中間対応の費用も発生しません。

 次に、特許査定時の費用ですが、成功報酬や登録費用などが15万円前後発生します。それに3年分の登録料の印紙代として約1万円が必要です。
 このときの費用は、拒絶査定となったときには発生しません。

 上記の金額を足し算すると、約60万円です。

 なお、特許が登録された後は、権利を維持するための登録料(年金)納付が4年目以降にも必要ですが、ここでは説明を省略します。

 2.費用が高くなるパターン
 コンピュータプログラムなどの複雑になりやすい出願で、特許先行技術調査もややこしく、出願書類の記載も多い場合、出願時の費用が50万円超えとなることがあります。仮に55万円とします。これに印紙代14,000円が加わります。

 3年後の審査請求では、請求項数が多いと印紙代も嵩みます。
 ここでは、審査請求に約20万円とします。

 続いて、拒絶理由通知が2回なされたと仮定します。
 すると、中間対応費用に12万円×2=24万円です。

 特許査定のときに、やはり請求項数が多いと成功報酬も嵩みます。
 仮に成功報酬と印紙代で20万円とします。

 上記の金額を足し算すると約100万円です。
 もっというと、拒絶査定に対する審判請求や審決取消訴訟をするとさらに費用が嵩みます。

 3.リスク低減方法
 これは、過去の投稿にも書いていることなのですが、一言で言えば費用を分散させて状況に応じて打ち切るということです。

 上記の費用を一度に支払って、その結果なにも利益がなかったとすれば、やっぱり特許出願は高いねとなります。

 しかし、数年間に分けて、そのときの事業の状態によって継続するか否かを判断すれば、そんなに大きなリスクにはなりません。

 以下、具体的に説明します。

 自社の技術を保護しようとすれば、先ずは出願しなければ話になりません。
 その出願をするにしても、先に特許先行技術調査をします。

 つまり、最初に数万円の費用で特許先行技術調査をして、その技術がものになるのか、事業に活用できるのかの判断をします。
 ここで、ダメだと判断すれば費用は数万円で済みます。

 次に、特許出願をします。
 このとき、30万円以上の費用が発生します。
 これは仕方ありません。

 出願をしたら、約3年間放置します。
 ここで、3年後に事業が上手く行かなかった場合、審査請求をしなければその出願は勝手に取下げとなって、費用は発生しません。
 上手く行かない事業に特許を取っても意味があまりないですから、取下げとするのが普通です。

 3年後に、事業を軌道に乗って利益が出ている場合、審査請求をします。

 審査請求をした場合、約1年後に審査結果が通知されます。
 この審査結果ですが、大抵は拒絶理由通知です。
 ですので、中間対応費用が必要になるのですが、ここでも事業が上手く行っているか否かを見ます。
 そして、中間対応をするのか否かを判断するのです。

 このように、費用を分散させることで、数万円の出費で済むことがありますし、出願までの費用で済むこともあります。

 勿論、事業が上手く行っている場合は審査請求、中間対応と進めて最後まで手続をするでしょうから、それなりの費用は発生します。
 でも、事業が上手く行っているのなら、特許費用は出せると思いますし、出す価値もあると思います。

 いかがでしょうか。
 特許出願に必要な費用、そしてリスク低減方法についてご理解いただけたでしょうか。

 何かを開発された、新規に何かを始めるという場合、御社の知的財産を守るためにも、特許などの出願をご検討ください。

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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