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第4回 台湾マクドナルドで今起きていること 性暴力事件/不買運動/サンリオ/Threadsの影響力

台湾で昨年末から今に至るまでマクドナルドのある事件を巡って、一連の騒動が起きています。あまり日本語のメディアで報じられていないこともありましたので記録していこうと思います。

これらから、台湾人というひとつの集団に存在する、一部倫理観が垣間見えるきっかけになるかなと思います。

発端はThreadsでの告発

10代女性、バイト先で従業員から性的暴行受け自殺か 台湾マックが謝罪

フォーカス台湾(2024.12.27)

ある女性が2024年12月上旬、ソーシャルメディアのThreadsで、「娘が仕事先であるマクドナルドの上司に性的暴行をされ、離職後もうつ病になり、自殺した」と投稿し、メディアに取り上げられ、一気に情報が拡散されました。

各メディアの報道によると、被害者は当時17才で、アルバイトのシフトを巡って、上司から以前よりパワハラを受けており、性的暴行を受けていました。被害者は離職後にうつを患い、警察に通報し、マクドナルドに告発。マクドナルドはそれを受けて、加害者を解雇したものの、被害者とその遺族への謝罪はすぐにはなかったとのことです。

遺族の投稿を受けて、Threadsで一気に炎上。マクドナルドの対応に対する批判と、加害者の人物特定の動き始まりました。事が大きくなるにつれて、マクドナルドは公式に謝罪声明を出しましたが、一度燃え上がった感情が収束することはありません。

加害者は「富二代(金持ちの息子)」で、解雇処分後に「訴えられても負けるわけがない」と発言していたり、被害者に繰り返し連絡し和解を要求していたことが明るみになったり、マクドナルド側が遺族を訪問した際に、残念と繰り返すばかりで、謝罪の言葉がなかったことを被害者の父が明かしたりと、ネットユーザーの怒りの感情を増幅させるようなできごとが重なっていたようです。

不買運動に発展

マクドナルドへのバッシングや、加害者の人物特定に始まり、ネットユーザーの行動は次第とエスカレートしていきます。米国のマクドナルド本部へ抗議をする人もいれば、Threads上で不買運動を呼びかけたり波紋が広がります。Threadsの日本人ユーザーに向けて日本語で発信している投稿も見かけました。

昨年末から一部の人の間で始まった不買運動は、ウェブニュースの報道や、インフルエンサーらによるシェアで、その影響がだんだんと広がっていきます。普段活気にあふれていた店舗が、がらんとしている写真がソーシャルメディア上に多くアップされました。マクドナルドに関するものならあらゆるものがバッシングの対象となっていきます。

サンリオコラボが突如取りやめ

マクドナルドがサンリオの「マイメロディ」とコラボした2025年1月15日リリース予定だったメニューが急遽発売取り消しとなりました。マクドナルドの当初の説明では原因を明かしていなかったのですが、その後の報道によると、あるネットユーザーからサンリオの日本本部へ一連の告発があったことが原因で、サンリオ側から急遽発売取りやめを言い渡されたとのことです。

報道によると、サンリオに送られた文面には、マクドナルドの性暴力事件に対する市民感情、コラボによってイメージへもたらす悪影響、コラボすることにより現状を分別していないと消費者にみなされるリスク、などが書かれていたようです。

マクドナルドとサンリオとのコラボで、相当規模の準備期間や、投じられた金額があるはずです。直前になっての取り消しとなり、大きな打撃があることでしょう。一方で、サンリオの決定に称賛する声もThreads上で散見します。

以上が、今台湾のマクドナルドで起きていることです。マクドナルドは、すでに当件で、労働当局より100万台湾ドル(470万円)の罰金を科されているほか、検察の取り調べには全面的に協力すること、社内内部のマネジメントの全面的な見直しを表明しています。

ただ一部では、「まだ誠意ある謝罪や賠償がない」といった台湾人の声がまだ存在します。台湾人の感情が収束する日は来るのでしょうか。

公關危機とThreadsの寄与

一連の経緯で、「公關危機」という言葉が頻出しています。公關とは公共関係(Public Relations)いわゆる広報部門のことを指し、あるインシデントの処理方法を巡って、企業・組織の信用が激しく損なわれ、経営に打撃となることを意味します。

台湾人は主体性を持っている人が多く、なにか事件があると、それに応じた行動を起こす民族性があります。今回のマクドナルドの件は、そこにソーシャルメディアが増幅器となって、人々の声が広まり、騒動となりました。

Threadsは2024年10月時点で、世界で延べ1.75億人のユーザーがおり、うち台湾人の数が世界2位となっているようです。

Threads平台推出剛滿一週年,而母公司Meta表示,Threads 在全球的每月活躍人數已高達1.75億人口,流量在台灣更高達全球第二,可看出台灣人對Threads的喜愛。

食力food NEXTの2024年10月報道より

まだ世に出て日の浅いソーシャルメディアですが、台湾人との相性が良く、非常にアクティブなプラットフォームで、台湾人の生の声が見れる貴重なリソースとなっています。

本回が、皆さんが台湾を知る一つのきっかけになれれば幸いです。ご一読くださりありがとうございました。

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