第10回「【演習】社内報制作」
みなさん、こんにちは。
「広報リーダーシップ学」授業の10回目です。
今回は、前回学んだインターナル・コミュニケーションの実践である社内報の、制作演習となります。
社内報の制作演習に入る前にお知らせがあります。
第7回でプレスリリースを作成する演習(第7回「【講義】【演習】プレスリリース」)を実施したところ、何名かの方に課題をご提出いただきました。
ご提出いただいた皆さん、ありがとうございました。
課題を拝見させていただいて思ったのが、本来ならば、きちんと評価するには学習到達度を示すルーブリックが必要であり、それを学習者に対してあらかじめ公表しておくべきということです。
ですから、「広報リーダーシップ学」全体と各回の授業のルーブリックを作らなくてはならないと思っています。
また、プレスリリースの「講義」をした上で「演習」を行なっているので、講義と演習の評価の一貫性がなければなりません。
そこで、講義の内容を反映させたプレスリリース評価のためのチェックリストが必要だと思いました。
そしてこれは、授業内の演習だけではなくて、日常の広報の業務においても活用できるものなので、さっそく作成してみました。
エクセルとPDFのファイルをアップしましたので、必要な方はダウンロードしてご利用ください。
さて、それでは本日の本題に入っていきましょう。
社内報制作の演習課題
前回、第9回の講義でインターナル・コミュニケーションの重要性とそのツールである社内報についてご説明しました。
今回は実際に社内報の企画を考えてもらい、取材をして記事を書いてもらおうと思います。
プレスリリースの回の演習は個人でのワークでしたが、今回の記事はグループワークです。
グループ内でよく話し合って企画を考えて、役割分担をして作業を進めてください。
くれぐれも誰か一人だけが頑張って個人的な企画にならないように、コレクティブブレイン(集合知)のパワーが発揮できるよう、全員で協力してワークを行なってくださいね。
大学生の皆さんたちは大学の学内報の企画を考えて、実際に大学内を回り、取材をして記事を作成してください。
社会人の皆さんたちは、ご自身が所属されている会社・組織の広報担当者になったつもりで、社内報の企画を考えて、記事を書いてみてください。
今回は社内報全体の構成企画ではなくて、すでに発行されている社内報があることを想定して、その社内報に掲載する特集企画を考えてもらいたいと思います。
提出は以下のGoogleフォームからお願いします。
提出してもらう項目は、
まずは、企画のコンセプト=今回の社内報の企画によって実現させたい目標、例えば「ビジョンの浸透」や「前向きな企業文化の醸成」といったことを200〜400字程度で記入してください。
次にこの社内報の一企画は何ページ構成なのか、ページ数を書いてください。
そして、これが大切なのですが、主な読者対象を設定してください。
社内報なので読者対象はもちろん会社(組織)内の従業員(組織構成員)となりますが、その中でも特に誰に読んでもらいたいのか、誰の行動変容を期待しているのかを明確にしておきたいと思います。
企画内容=具体的な企画の内容を200〜400字程度で記入してください。
記事の作成はイラレでもwordでもcanvaでもパワポでも何を使っても結構ですが、PDFに変換して提出してください。
例えば特集企画全体は8ページで考えているけれどその中の2ページだけ、1ページだけを提出するということで全然構いません。
記事の作成までできなかったチームは記事の添付はなくても良いです。
提出はこちらのフォームからお願いします。
社内報の代表的なコンテンツ例と目的別の分類
皆さんが演習の課題に取り組んでいただいている間に、企画立案の参考となるような事例の紹介などをしたいと思います。
社内報によくある代表的な企画には凡そ以下のようなものがあります。
・トップメッセージ
・ビジョン、中期経営計画
・歴史、沿革紹介
・部署、店舗、工場紹介
・従業員紹介(新入社員、活躍した社員、ベテラン社員、定年退職者)
・外部からの表彰者
・商品、サービス紹介
・新商品紹介、開発秘話
・プロジェクト活動、コミュニティ活動、サークル活動
・福利厚生制度、社員食堂、施設設備紹介
・社内ニュース
・業界ニュース
・アンケート企画
・ランキング企画
・誕生日、慶弔情報
こうした社内報の企画は目的別に6つのポイントに整理できます。
このポイントを企画のコンセプト、実現させたい目標を考える参考にしてもらえたら良いと思います。
事例紹介 from 社内報ナビ
前回、第9回の講義で『社内報アワード』を運営するウィズワークス株式会社のことを紹介しました。
そのウィズワークスが『社内報ナビ』というWEBメディアを運営しています。→社内報ナビ
今回は、社内報ナビに掲載されている記事の中からいくつか事例を紹介させていただきます。
企業理念やビジョンの浸透は重要なテーマであるので、社内報ではトップが登場する企画は定番です。
一方、いかに社内報を多くの従業員に社内報を読んでもらうかという課題を持つ企業が多く、トップメッセージの掲載は、課題を解決するよりもむしろ逆の効果を与える可能性もあります。
トップの記事を掲載するのはお堅い内容にならないように気をつけなければなりませんし、忖度企画?と読者に思われたらとてもシラケてしまいます。
関西電力の事例は、新社長の就任という紹介するのには絶好のタイミングで、従業員が社長のパーソナリティを理解して共感へとつながる工夫がされた好企画でした。
物語コーポレーションは「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」などの運営、フランチャイズ展開を行う外食事業の会社で、正社員は1,800名、アルバイトなどの時間制従業員を数に入れると約28,000名が働く企業です。
従業員数が多いので、様々な人たちが活躍していて、その多様性をうまくグループ内で伝えられるならば、それは会社にとっての大きな強みとなることは間違いありません。
活躍する従業員のロールモデルを示すことで、多様性を認める会社であることを理解してもらい、主体的な行動を促進する秀逸な企画記事だと思います。
社内報の読者に従業員の家族を加えたコンセプトが素晴らしいと思います。
働く親の仕事ぶりを子どもたちに見てもらうことはとても大切なことです。
従業員のエンゲージメントを高めるには従業員の家族の会社理解は重要なポイントだと思います。
もちろん従業員の家族に自信を持って会社見学に来てもらえる会社であることが前提であり、さらにこうした企画記事が連載されることで好循環が起こっているのではないでしょうか。
多様性を重視する会社のビジョンを正しくわかりやすく従業員、特に若手リーダーに伝えることをコンセプトとした企画記事です。
高等学校では探究学習、大学ではPBLが盛んですが、学習を主体的にするには「答え」を教えるのではなくて、「問いかけること」が大切で、もっと言えば「問い」自体を考えることを日常化することが必要です。
企業など仕事の現場でもまったく同じで、「正解を探す」従業員よりも、「自分で問いを見つける」従業員こそが企業を元気にします。
従業員に「問わせる習慣」をつけるには、オープンな文化や風土づくりが大切で、そのためには職場の「心理的安全性」が欠かせません。
そうした会社の姿勢を表現できている社内報企画だと思いました。
社内報ナビにはたくさんの社内報の企画や事例の紹介が掲載されているので、企画を考える際のとても良い参考となります。
ぜひ皆さんも、サイトを訪れて学んでください。
さて、皆さん。
企画の進捗状況はいかがでしょうか?
時間がまいりましたので、本日の授業はこの辺にしたいと思いますが、まだ完成していないグループは締切日までに集まって作業をしてもらって構いません。
次回は皆さんたちに、今回立案した企画と作成した記事をもとに、プレゼンテーションをしてもらいます。
皆さんからの提出がまったくないことも想像できるので、その場合は今までに私が制作に関わってきた社内報(学校内広報誌)の企画を選んで発表したいと思います。
そんなわけで、少し間が空くことも考えられますが、次回もどうぞお楽しみにしていてください。