「せんせいって」先生の仕事って何色?ブラック?☆ゲスト 松下 隼司 先生 /今窪 一太(いまくぼ かずた)トークセッション#006
ES-TV note 【2022.7.28ライブ配信】
多才な小学校の先生からアプローチが
さまざまなご縁から、西田先生、白澤さん、住田先生、広木先生とES-TVライブ配信にゲスト出演していただきました。
今回のゲストは松下隼司先生ですが、EDUCATIONAL SUPPORTの活動に関心を持っていただいたそうで、松下先生の方からご連絡をいただきました。
松下先生は大阪の小学校の先生なので、オンラインでミーティングをしたところ、最近『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』という本を出版された他、過去2冊の絵本を出版されています。
さらにはダンスの指導で表彰されたこともあるとか。
「この先生って、な、何者なの!?」と思った我々は、さっそくその場で出演をお願いして、ES-TVライブ配信にてお話をうかがうことにしました。
絵本『せんせいって』
簡単な自己紹介のあと、まずは、松下先生の著書の1冊である絵本、『せんせいって』が松下先生自身の読み聞かせで紹介がされました。
ーー想像以上にぐっときてしまいました。
お話の前半は、先生の仕事はやることが多くてたいへんだなという印象が強調されていましたが、途中からだんだん変わっていって、先生って本当に素敵な仕事だなというのが伝わってくるストーリーだったと思います。
さっそくお聞きしたいのですが、松下先生が先生になりたいと意識したのはいつ頃だったのでしょうか?
松下:中学2年生のときです。
自分の進路をそろそろ考えはじめたときに、ずっと教員をしていた母親を見てきていたので先生っていいなと思っていました。
当時の先生は夏休みもありましたし、夏休みは家にいるし、先生だった母親が毎日とても楽しそうにしていましたので。
暑中見舞いや年賀状とか、児童からたくさん届くんですよ。
しかもぎっしり文字が書かれていたりして。
当時の自分に届いていた年賀状の数と比較して「お母さんは人気あるな」と思って尊敬していましたし、自分も母親のように人気のある先生になりたいなと思いました。
幸せな先生になること
ーーお母さん以外に影響を受けた先生、めざしていた先生のイメージってありますか?
松下:大学進学をめざしていた頃に「みにくいアヒルの子」という学校もののテレビドラマがあり、よく視聴していました。
岸谷五朗さんが演じるガースケ先生というのがとても素敵な先生で、こんな先生になりたいなと思いました。
子どもに体当たりで接する先生なのですが、ガースケ先生の「良い先生になるよりも幸せな先生になる」という言葉はとても心に響きました。
「子どもたちに幸せを」と考えるならば、まずは先生自身が幸せになる必要があるなと思いました。
ーー松下先生のこれまでの教員生活の中で、幸せを感じるようなほっこりするエピソードって何かありますか?
松下:毎日ですね。
子どもたちといる時間はいつも幸せです。
例えば、暑中見舞いとか年賀状の書き方について指導をするのですが、そのときに住所をどこにどう書くなど教えます。
そうすると子どもたちが、先生にはがきを書きたいというので、黒板に僕が住所を書くんですね。
昔は自宅の住所を教えていたこともありますが、最近はいろいろとありますから、学校の住所を教えています。
子どもたちは、そうとは気が付かずに、郵便番号を書き始めると、「あ、自分と一緒だ!」と言いますし、住所を見ると「先生の家、むっちゃ自分ちと近いやん」とか、「先生の家って一戸建て?」とか質問してきて、本当に無邪気でかわいいなと思いますね。
ーー今窪先生は学校をやめてから鰻屋さんを経営しているので、卒業生がきてくれるというお話をよく聞いていますが、松下先生も教え子と出会うようなことがありますか?
松下:先日、社会科見学で科学館に行ったのですが、同じく見学に来ている小学校があって、そこの先生の一人が「先生!」と言って私のところに近寄ってきました。
背も私よりも大きくなっていましたし、最初は気がつかなかったのですが、実は教え子だったんですね。
「今、新任なんです。」というので、こんなに先生はたいへんな仕事だよと言われている時代だけれども、「先生をめざしてくれたんだ」「先生になってくれたんだ」と感激しました。
教え子である新任の先生は、担任している児童たちに慕われているようで、「幸せにやっているな」とうれしく思いました。
どうやってむずかしい学級の空気をかえる?
ーーつい最近『むずかしい学級の空気をかえる楽級経営』という本を書かれていますが、こちらにはどんなことが書かれていますか?
松下:学校は勉強するところではありますが、やっぱり学校は楽しい方がいいなあと思い、僕は、楽しくなるクラスづくりを心がけています。
楽しいクラスになれば勉強への意欲も自然と出てくると思うんですよね。
タイトルに「むずかしい学級の空気をかえる」とありますが、難しい学級では笑顔が消えてしまうことがあります。
笑顔で接してくれる看護師さんのいる病院は、より病気が治る、というデータがあると聞きます。
それをイメージして子どもたちに笑顔の注射を打つようにしています。
難しい学級にはトラブルもありますが、子ども同士でトラブルがあったときは、横並びで話をさせます。
向き合って話をさせるとお互いに興奮が止まらなくて、喧嘩が収まらないんですよね。
そこで、公園のベンチに座るように横並びに座らせて、話をさせます。
そうすると興奮が収まるんです。
僕もいらんことするので、さらに小鳥の声とか小川のせせらぎとかのBGMをスマホで流したりして、そうすると子どもたちも、もう笑うしかないですよね。
そんなような、「むずかしい学級の空気をかえる工夫」をたくさん本に書いてみました。
先生の仕事はブラックじゃない、にじいろ!だよ
ーー松下先生の先生観は「楽しい」がキーワードとなっているようですが、松下先生の学校では楽しくされている先生が多いのでしょうか?
松下:うちの学校の先生たち、ものすごい輝いてはるなって僕は思っています。
自分の教室に行くまでにいろんな教室の前を通るのですが、先生たちが子どもにかける「おはようございます」が明るくて元気で、その声を聞くと自分まで元気をもらえます。
素敵な学校に勤められて幸せだなって思っています。
ーー今窪先生は、仕事を楽しくするためにどんな工夫をされていましたか?
今窪:そうですね、気持ちの上では授業準備にしても、学級経営にしても、楽しくしようということは心がけていましたね。
少しでも生徒がよろこんでくれるにはどうしたら良いか、理解しやすくするにはどうしたら良いかということを考えて、生徒たちの姿を思い浮かべてそれをモチベーションにしていました。
ーー最後に、『せんせいって』の絵本を書かれたきっかけと、どんな人に読んでほしいと思っているかを教えてもらえますか?
松下:この絵本で伝えたいことは、先生の仕事はブラックじゃない。
にじいろだよ!ということです。
きっかけは、担任していた児童から「先生の仕事ってブラックなの?」と聞かれたことです。
とっさにうまく答えられなくて、お正月に妻の実家に帰って、子どもたちへの答えとなるように、学級通信のお手紙を書いたんです。
それをクラスの子どもたちだけではなくて、もっと多くの人に伝えようと思ったことが絵本の出版につながりました。
今、先生の仕事ってたいへんだ、ブラックだ、と社会的には言われています。
ネットでちょっと検索をするとそんな情報がたくさんヒットします。
確かにやらなくちゃならない業務はどんどん増えていて、一方で先生の人数が足りなくて、忙しくてたいへんです。
しかし、たいへんだと言われていながらも、子どもたちのなりたい職業のランキングの中に、いつも先生の仕事はあるんですね。
子どもたちの目の前に立つ先生が楽しそうにしている。
こんなに楽しそうなんだったら自分も先生になりたい、優しくて温かい、こんな先生に自分もなりたいと憧れを持ってくれる子どもたちが全国にたくさんいるからランクインする。
ということは全国に素敵な先生がたくさんいるということです。
確かに先生の仕事は楽ではありませんが、決してブラックではありません。
学校の先生をめざしている学生の方などにはぜひ絵本を読んでもらいたいなと思っています。
ーー先生って、どんな色も描ける素敵な仕事なんですね。
松下先生、今日は本当にありがとうございました。(MC:善福 真凪)
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
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今後とも、EDUCATIONAL SUPPORTのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。