僕らのビジネスの鍵は、なまえデザインにある|39冊目『なまえデザイン』
小藥 元(2023, 宣伝会議)
そのネーミングでビジネスが動き出す
「なまえデザイン」という本のタイトルと、「そのネーミングでビジネスが動き出す」というキャッチコピーにやられました。
この本は読まなきゃ!と思いました。
ネーミング一つでつまらないこともワクワクする何かに変化することがあります。
「営業さん」ではなくて「ビジネスプロデューサー」と言われたいし、「アルバイト」じゃなくて「キャスト」の方がモチベーションがあがります。
ネーミング一つで、流行ったり、売れたりすることも世の中にはたくさんあります。
だから、名前って本当に重要だと思います。
ネーミングのセンスがある人っていると思います。
業界ことばやコミュニティの中でことばを作り出すことがうまい人です。
そうした言葉は、何かと何かの言葉の組み合わせだったり、逆に短縮された略称だったりします。
SNSで流行っている言葉や、若い人たちが好んで使う言葉にも、それを言い出した人がいるわけです。
言葉が正しく使われているかどうかではなくて、語呂やリズムやニュアンスや、流行る要素がなにかあるのだと思います。
多くの人にシェアされるのは、みんなが「気持ちいい」と感じるもの、なのだといいます。
なるほど、その通りです。
僕はここ10年間くらい、毎年、宣伝会議賞にコピーを応募しています。
宣伝会議賞にはじめてチャレンジし出した頃は、いわゆるダジャレや語呂合わせのような、単なることばあそびのコピーしか思い浮かびませんでしたが、最近は意識して避けるようにしています。
ネイティブが使わないような嘘の英語、和製英語のコピーも書かないように気をつけています。
名前とは、一文字のコピー。
と小藥さんはいいます。
よくできた名前は、それだけで商品の差別化ができます。
商品の価値を伝えることができます。
ダジャレや造語、和製英語がダメかといえば、そんなことはなくて、むしろそうした名前が大ヒットを生むこともあります。
口の端に乗る、発音しやすい、呼びやすいということは大事な要素なのです。
お弁当屋さんの名前を考える
弟と立ち上げようとしているビジネスがあります。
簡単にいうと、高齢者の単身世帯をメインの顧客とするお弁当配達サービスです。
高齢社会である現在は、高齢者の食事が社会課題の一つです。
コープやワタミ、パルシステムなどの食事の配達サービスの利用者数の増加がそれを証明しています。
僕たちの計画しているビジネスは、コンセプトとビジネスモデルが特徴であるのですが、人員や機材などのリソース不足が解消できず、ひとまずは一番の特徴であるビジネスモデルをあきらめて、お弁当の店舗販売からはじめる計画に変更することにしました。
しかし、ただのお弁当屋さんでは成功する根拠が乏しく、リスクが大きすぎます。
競合や代替品と勝負する商品価値、差別化が必要です。
先日、自分が参加している、高校の「起業ゼミ」で、昨年ビジネスプランコンテストに応募した生徒のビジネスプランへの日本政策金融公庫のアドバイザーの方からのレビューがありました。
日本政策金融公庫のアドバイザーの方が着目する項目は、まずはやはり「商品・サービス」そのものでした。
つまり、その商品やサービスはどんな価値を顧客に与えることができるのか?競合との差別化要因はなにか?です。
そして、「想定している顧客(ターゲット)」にも注目されていました。
高校生の場合は、顧客のターゲティングができていないことが多いです。
ターゲット顧客を明確にしていても、その顧客の特性と、商品・サービスの特性が一致しなかったり、ターゲット顧客にふさわしくないプロモーションアイデアが提案されていたりもします。
僕と弟のビジネスはターゲットは高齢者で、しかも居住地域が絞り込まれていて明確です。
それでは商品はどうかといえば、コンセプトは明確なのですが、きちんと伝えられるかどうかが課題です。
商品価値が見えにくい。
他の競合店や、代替品となる食品とは何が違うのかということをアピールできなければ成功はないでしょう。
高齢者本人にとって価値あるお弁当の名前とは?
前述したように高齢者をターゲットとした食事提供サービスは世の中にたくさんあります。
すなわち、そこには市場が間違いなくあるということです。
競合のそうした商品の多くは、食事の栄養に配慮がなされ、健康面に気配りがされています。
そして、高齢者の見守りの仕組みが組み合わされていたりします。
でも、それって高齢者本人のためというよりも、高齢者の家族のためのメリットなんじゃないかと僕は思っています。
高齢者にとっての食事の本当の価値ってなんでしょうか。
元気だったらスーパーに買い物に行って食材を買ってきて、自分で得意の料理をつくって食べてきたのに、それがだんだんとできなくなってしまった。
これって本人にしてみたら、とても寂しいことです。
腕によりをかけて家族の食卓をつくり続けてきたお母さん(おばあちゃん)たち。
毎日、子どもたちのお弁当を詰めて、学校に送り出し続けてきたお母さんたち。
「美味しい」と言ってくれる家族の言葉と笑顔がよろこびで、空になったお弁当箱はお母さんの誇りだったと思います。
それが今では思い出の中だけのできことになってしまいました。
自分の食事だって思うように作れない。
だからおばあちゃんたちのかつての「気持ち」を大事にしたい。
栄養面だ安全面だと、なんとなく高齢者を上から見下ろしたサービスではなくて、かつての楽しかった食卓を、高齢者の方々の家族への愛情を思い出させる食事を提供したい。
そんなお弁当にふさわしい名前ってなんでしょう?
そんなお弁当を提供するお弁当屋さんの名前ってなんでしょうか?
僕らはお弁当屋さんを成功させるために、キャッチコピーを考えてプロモーションをして、コンセプトを伝えていく必要があります。
他店と差別化するブランディングです。
ブランディングといっても、「高級感を持たせる」という意味ではなくて、ターゲット顧客にとってのトップブランド、選ばれるお弁当屋さんになるということです。
なまえデザイン=ブランドデザイン
と小藥さんはいいます。
僕たちが考えるビジネスの価値を書き出して順位づけをして、価値ピラミッドをつくる。
何が一番言いたいことなのかを考えて、言うことを絞り込む。
僕らのビジネスの成功の鍵は、なまえデザインにあるんじゃないかなと僕は思っています。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
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