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心の中の思いで

マフラーにも巻き方がある
蝶々結びにネジネジに
わたしはただクロスにするだけがスキ

いろいろな巻き方があって迷ってしまう

母が彼の世に還る少し前にマゼンタ色のカシミヤのマフラーを一緒に買う

それをつけるのを楽しみしていたはずなのに
どこにもつけて行くことなく
還って行った
火葬の時に入れようかと考えたが
わたしが貰ってつけることにする

母が行きたかった親さまの元につけて行くとみんなから「そのマフラー、いい色だね」と褒められる
いつも母と一緒にいる
そんな気持ちにさせられる

母のカラーはマゼンタ色
そしてわたしもいつのまにかマゼンタ色のものが増えてゆく
おしゃれな母が着ていた服をわたしが着ている
「それいいね」と言われるものは全てが母のもの

何故だろう
だんだん母に似てくる

ただあの人は背筋をいつもピンと伸ばし背中を丸めたりはしなかった

時々お茶のお稽古でわたしはお師匠さんから
「背中を丸めない」と注意をされる

この間、似たような時期に母を亡くした友だちと電話をした
その子もお母さんが大好きだった
だから二人で泣きたくなる
どうしてだか気持ちが分かる

今はお父さんも入院して、彼女もひとりきり
ひとりだと何にもしたくなくなると言う
「分かる、分かる」


思い出は私の中にいっぱいある

そう思うとさみしくないな

母の話し

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ノリかな
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