ありがとね

生きる意味がわからない

心のどこかで分かっている
本当は早く彼の世に還りたい
ただそれだけ

いいのか悪いのか
楽しくない

心の中に冷たい風が吹き抜ける
夢の中で母を訪ねても
起きればひとり
むなしくなる

いつもいつも「ありがとう」と呟いていても
どうしても立ち上がれない

母がいないことを現実として受け入れられるようになり
いつになったら還れるのか
それだけを願っている
自分の心が掴めない

分からないことばかり
何にも欲しくない
身体を速く返したい

ひとりになることを選んだのは自分のはずなのに
ひとりぼっちはつらくなる

息子たちをちゃんと育て
一人前にしたことも
褒められても嬉しくない、楽しくない

いつまでも自分がひとりで生きられることはないけれど

もう少し母と一緒にいたかった
いつかは彼の世に還るだけ
お別れの時は必ず来る

ありがとね、ありがとね
ずっと支えてくれてありがとね

腑抜けをいつまでもやり続ける自分もイヤになる

かなしみをいっぱい袋に詰め込んで泣いているだけ

祈りをしても虚しくて
気持ちがおさまらない
明るくなんか出来ないし
前向きなんかなれないよ

ありがとね
こんな気持ちになれるのも感謝する

いつまで生きればいいのだろう

ありがとね

どう転んでもいつかはひとり

苦しい胸のうち