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Photo by
nekomi_i
思いを馳せる
小田原からは海沿いを行く
小さな漁船が海の上
波はきらきらと光っている
神様の元に着いてみたら
急に彼の世に還られたYさんは事故死だと知らされる
どうして神は大切な人を急に奪うのか
この世での役目を果たしたから
そんなことは分かるけど
いなくなってしまうのは耐えられない
でもただ身体が無くなるだけ
明日、明後日とお通夜に告別式があるという
知り合いが午後からやってくる
喪服のような格好で
「どうしたの」と聞くと
午前中にYさんに逢って来た
お通夜も告別式も行けないから
「きれいなお顔をしていたよ、声を掛けたら起き上がりそう」
周りのみんなはお通夜に行くという
私も息子が幼い頃からお世話になって来た
私の顔を見るたびに息子の様子を聞いて来る
耳をダンボにして情報を収集すると
斎場と時間が分かる
私もお通夜に行こうと決める
息子にも伝えると
息子もお通夜に行くといい
喪服を取りにやって来る
「やっぱりさみしいね」
息子は私の出したお煎餅を食べながら呟く
生きるってどんな意味があるのだろう
肉体が無ければ魂は成長しない
見えない魂が成長することに意味を見出せない
いつも思っている
早く彼方の世界に還りたい
でも人間は不思議なもので
もう少しだけ生きたいと思えるようになると
彼方の世界へ還っ行く
母もそうである
もう少し生きたいか…
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