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夜の蝶

お茶のお稽古が終わって
わたしは電車を乗り継いで家に帰る

家に着く頃は暗闇だった
雨戸を閉めようと窓を開けると
目に飛び込んで来たのは
オリーブの木にしがみつくアゲハ蝶

よく目を凝らさないと気がつかない

写真を撮ろうとスマホをかざす
暗いから何回もストロボを点いても全く逃げない

あなたは誰の魂なの?
一緒にお稽古に行ったお母さんなの

ふと感じる
ずっと動かないアゲハ蝶は母の御魂か

いつもひとりのはずなのにさみしさを感じない

夜の蝶は珍しい

デパ地下で買ってきたコロッケをオーブンで温めて付け合わせの野菜を刻み、味噌汁、ご飯を
父と母とにお供えをする

誰ともはなしをしない日々
本当は慣れることは無いけれど
必死に息をしているだけ

わたしも蝶々になりたいな




あゝやっぱりさみしい


蝶々に憧れる


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