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徹底解説!東京メトロ有楽町線・副都心線17000系電車 東京メトロ車両に求められること

2021年から営業運転を開始する予定の、東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系電車。相互直通運転で5社7線に直通する有楽町線・副都心線の特徴などを踏まえた車両にしたといいます。

(この記事は2020年8月に会員限定記事として配信したものです。)

7000系電車の代替として

 東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系が2020年8月11日(火)、東京メトロの新木場車両基地で報道陣へ公開されました。

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▲手前が新型車両の17000系、そのひとつ奥が10000系(2020年8月11日、恵 知仁撮影)。

 1974(昭和49)年に登場した7000系電車の代替として、2021年から営業運転を開始する予定で、有楽町線・副都心線では2006(平成18)年の10000系以来、15年ぶりの東京メトロ新型車両です。相互直通運転による広域ネットワークの中核を担うため、これまでの東京メトロのノウハウや、信頼性の高い技術を取り入れたといいます。

東京メトロ 有楽町線・副都心線の歴史

 有楽町線は東京メトロ6番目の路線として、1974(昭和49)年10月に池袋~銀座一丁目間の10.2kmが開業。その後、延伸がなされ、1988(昭和63)年に和光市~新木場間28.3kmの全線が開業しました。

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▲17000系と東京メトロのキャラクター(2020年8月11日、恵 知仁撮影)。

 副都心線は、2008(平成20)年に小竹向原~渋谷間11.9kmの全線が開業(先に有楽町線新線として開業していた区間の編入も含む)。同時に、ホームドアの稼働とワンマン運転も開始されました。

 そして副都心線は、2013(平成25)年に東急東横線と接続され、横浜高速鉄道みなとみらい線まで相互直通運転が拡大します。

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▲17000系の車内ドア上にある案内モニター(2020年8月11日、恵 知仁撮影)。

 東京メトロ有楽町線・副都心線は、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線、西武有楽町線・池袋線、東武東上線と相互直通運転を行っており、その5社7線のネットワークは、「首都圏都市鉄道の利便性を大きく向上させ、かつ首都圏内陸部と沿岸部の心理的距離を縮め、地域間交流の活性化に貢献する」と評価され、「日本鉄道大賞」を受賞しています。

 この相互直通運転による広域ネットワークは現在、160.4kmにおよび(飯能~西武秩父間を除く)、有楽町線と副都心線は1日およそ177万人(2019年度)が利用しているそうです。

1378両が運行されている有楽町線・副都心線

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▲17000系の車内(2020年8月11日、恵 知仁撮影)。

 東京メトロ有楽町線・副都心線では現在、各社合計で1378両が運行されています。内訳は以下の通りです。

・東京メトロ:7000系(180両〈8両編成120両、10両編成60両〉、10000系(360両〈10両編成360両〉)、合計540両
・西武鉄道:10両編成290両
・東武鉄道:10両編成170両
・東急電鉄:8両編成240両、10両編成90両、合計330両
・横浜高速:8両編成48両

 5社7線のネットワークにおいて、各社複数の車種が走っているのが特徴のひとつです。

「東京メトロの車両に求められること」とは?

 東京メトロの車両には、次のことが求められるそうです。

・駅間が短く急勾配も存在するため、高加減速かつ省エネ性能が求められる。
・路線建設の制約から急曲線が多く、高い曲線通過性能が求められる。
・直通運転先では高速性能も求められる。
・いろいろな路線へ直通するため、幅広いお客さまの様々な乗車目的が存在。それへの対応が求められる。
・相互直通先と、車両に必要な機能や機器配置の共通化が求められる。

 東京メトロの車両はこうした要素を踏まえたうえ、「大容量・高密度輸送」を安全・安定して実現するため、そして相互直通運転による広域ネットワークの中核を担うため(当てはまらない路線もありますが)、車両に対する要求が厳しいといいます。

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▲17000系の運転席(2020年8月11日、恵 知仁撮影)。

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