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友達と会って話したという、いたって普通の少しナナメな休日の日記

週末に無性にステーキが食べたくなったので、一人で食べに行こうかなと思いつつ、ふと、近所に住む同じ幼稚園卒の地元の友達に
「明日の夜タケルでステーキ食べようと思うけど、どう?」と聞いたら、友達もそろそろ肉を食べようと思っていたところだったらしく、二人で食べに行った。
タケルに行くと、ステーキにつけるソースを、塩やニンニクやポン酢や醤油やスパイスを何パターンも混ぜて自分なりに調合をこだわって作った小皿を並べまくって色んな味で食べる私と、
たくさんの調味料が並んでいるのに、自分の好みの味を1種類決めていてそれを直接ステーキにかけて食べる友達と、
二人ともクセのある食べ方をする。
タケルの紙のポイントカードが無くなってアプリになったことを話し合ったり、18時まで寝ていて寝起きだった私のむくんだ顔を見て少しだけ笑って、「よう寝たな」とだけ言って次の話に移る。なんで18時まで寝てたかなんて野暮なことは彼女は聞かないし驚かない。
友達の職場の隣の席のお風呂にあまり入ってないと思われる男のことが今地球一嫌いで、電話の受話器を毎朝消毒しているという友達の話を聞いて、「朝一回の消毒じゃ意味ないよ、できれば毎回がいいけど、人の目もあるからな。最低限昼休みは追加した方がいいよ」と私がアドバイスしたりしながらステーキを平らげた。

ちょっとお茶しよか、とロイヤルホストに私たちは移動した。
「ロイヤルホストはファミレス界でも群を抜いてる」
「ステージがまるで違う」
「さすがロイヤルと言うだけある」
「とんかつをちゃんと網に乗せて出すもんね」
と口々に言いながらメニューを長々と見るが、いつも頼むのはドリンクバー。
思えば、コロナのせいで緊急事態宣言があり外出自粛を続けていて、ロイホに来るのは久々で、テンションが上がっていた。
しばらくして、ステーキをSにした友達は、早めにパンケーキの段階に入った。私はステーキはMだったので友達がパンケーキを食べ終わった1時間半後にパンケーキを頼んだ。
各々のペースに気遣わずマイペースを貫く。
ロイヤルホストの3枚のパンケーキの食べ方は、一番上に乗っているバターを三等分してパンケーキ3枚を広げて均等にバターを塗り、メイプルシロップを全体に塗ってからもう一度3枚を重ねて食べていくのがベストだと15年前くらいに二人で見つけて以来、二人ともずっとそうしている。
「何事もこれがベストっていう答えが見つかるとその後が楽よな」と言いながらバターを三等分した。

人の好き嫌いの話になって、
「めちゃくちゃいい人やけど、大嫌いってことあるよな」
と友達が言い、
「あるある。みんながその人を大好きやけど自分だけその人が嫌いとかあるよ」と私は答え、
「逆に、めちゃくちゃ性格悪いのに好きやなって思える人もいるしな」と私が言うと
「あるよ、そういうこと」と友達が言う。
「私は好き嫌いのジャッジについては自信があるねん。」
と私が言うと、
「当たり前やん。好きと嫌いは自分自身が決めていることやからな。私たちは自分自身が決めることに責任持ってるもん。」
と友達が言った。
「だけどさ、ミッドサマーの映画勧めてきたあの嫌いな人のこと、今ちょっとマシになっててさ。嫌いな人に分類した自分のジャッジが間違えてたんかなぁと思って…」と私が言うと
「それはない、そこは間違えないよ。マシになってるだけで嫌いな人のところに片足突っ込んでるままやから、その人は何かの拍子ですぐ嫌いな人に戻るよ」と友達が言い切った。
更に続けた。
「好きな男に自分のことをどう思ってるのかとか結婚する気があるのか聞けない人や、もやもや引っかかってることを本人に言えないっていう人の悩み事とか世の中に多いやろ。上司に自分の意見が言えないってうじうじ悩んでるサラリーマンとか。世の中には、思っていることを言わない人や聞きたいことを聞かない人が多い。私はそういう人が嫌いやわ。」
と友達。
「私、人から言われたことあるけど、言いたいことを言わないんじゃなくて言えない、聞かないじゃなくて聞けないらしいよ、世の中の人って。『あなたみたいに言いたいことを言える人は特別なんです』って前に言われたわ。」
と私が言い、
「らしいね。私も言われたこと何回もある。」と友達。
「あと、こんなこと言っちゃいけないとか、思っちゃいけないとかあるみたいね、世の中の人の多くは。私はそういうのないや。何を思おうと自由やん。」
と私が言うと
「そう。だから、この人を嫌いになったらあかんとかないから、私たちは、誰にも縛られることなく人の好き嫌いを責任を持って自分で決めてる」と友達。
なるほど。そう考えると、嫌いな人がいるってことが、自分で責任を持って選択してるということになり、何だか尊いことに感じられてくる。今日も私の友達は私に示してくれた。ありがたい。これからも好き嫌いを責任を持って選んでいきたい。

その後、コーラゼロやロースヒップティーを飲みながら、毎回、ウォーキングデッドの話になり、何千回目かの『自分なら誰についていくか、どうやって生き残るか』という話をまたした。
女キャラならロジータのように強い男と関係してめきめきと強くなるのも憧れるが、頭が良くて最強の女キャロルと仲良くしておくかな、と私は思うのだが、友達は、やはり圧倒的にリックについていくという。リックは時に大勢を躊躇なく斬殺しまくるリーダーだけど、どんな危機的状況でも優先順位を瞬時に付けれる、常に息子を守るし仲間を守ることを最優先しているからとのこと。
自分の中の優先順位がブレるのは一番ダメだという主張がいつも揺るがない友達の選択に納得した。

その後なぜか、『もしも地球で一番嫌いな奴と無人島に二人になったらどうするか』という話になり、
友達は「そいつが魚を獲ってきた後に、頭を石で思い切り殴って気絶させて、魚を奪って島の反対側に逃げる」と語っていた。
「そいつを上手く利用して、毎回魚を獲ってこさせて献上させる関係になればいいやん、体を提供しなくてもいい程度に。チラッと太もも見せる程度で」
と私があくまで架空の話として好きなように適当に言うと、
「そういうやり取りすら嫌。魚獲ってきてって言いたくもない」と言い、
「ならそいつを殺して食べたら?」
とあくまで架空の話として海外の映画とドラマ好きの私が提案すると、
「すぐに救助の人が来た場合、殺したとすぐバレるし、人からどう思われようと気にしない私も、人からハンニバルとレッテルを貼られてずっと生きていくのはさすがに辛い」
と友達が真剣に言い、
「刑務所に毎週会いに行くし、レクター博士と呼ぶわ。長話できるかな刑務所って」というくだらない話をした。

それから、私が最近、山でのソロキャンプ用のグッズを揃えている話をして、「のりまきちゃんは体が弱いインドア人間やのに、時々そういうハードなアウトドアしたがるよね」と完全インドア派の友達は言い、「極限状態になると、ゾンビより人間の方が恐ろしいから気をつけや」とありがたいアドバイスをまたくれた。「分かってる。人間のいない所にしばらく行きたいから、今は海外にも行けないし、結局、山でのソロキャンプしかないわ」と答えた。

私たちはこういう一見くだらない話を延々とすることで(この日は結局6時間喋った)、生きる力を蓄えている。
「こんなことがあって、しんどくてさ…」というリアル悩み相談をして聞いてもらうこともなくはないが、それよりもこのくだらない話がよっぽど有意義な時間に感じる。
自分たちのちょっと世の中からズレている部分を安心して出せる。私の少し変なズレてる部分を全否定せず、もっと変な予想より斜め上の返しをしてくる相手だ。そして向こうも私のことをそう思っている。
休日に18時まで眠っていること、嫌いな人が使う電話の受話器をコロナ禍のずっと前からこそっと消毒してること、「いい人だけど嫌い」とか「殺して食べたら?」とかいうセリフは、なかなか他の人の前で言えないし、自分の食べたいタイミングでパンケーキを食べるのも、人といるとなかなかできない。
私たちにも、人の目を気にして言えないことやできないことがたくさんある、いたって普通の人間だなぁと思いつつ、そんな矛盾も含めて、安心して共有できる相手と時間に感謝した。今週も乗り切れそうだ。

写真は、その友達と昔行った台湾で、二人で来ているのに一人鍋の店で横並びで食べた時の写真。女同士で台湾に来て、こういう店を選んでそれぞれ違う鍋を食べるとかは、世の中の人たちはあんまりしないらしい、と後で知った。

※この友達のことを、「私に示してくれる子」という意味で「しめちゃん」と命名した。しめちゃんと会ってウダウダ話す会を「ヤサグレ会」と呼んでおり、しめちゃん(ハッシュタグしめちゃんでまとめてます)とヤサグレ会のことを時々書きます。







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のりまき
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