作品の不思議なパワーに惹きつけられる「人、神、自然−アール・サーニ・コレクション」展
かなりインパクトのあるこのフライヤーに目が止まり、観に行ってみました。
事前の知識なく行ったので、全く知らなかったのですが、アールサーニというカタールの王族の方々のコレクションなんですね。
展示空間からは異国感が漂ってきて、まるで外国を旅してるような気分にもなれるので、おすすめです。
さて、その展示空間に入ってまず感じたこと、それは圧倒されるような作品の力強さでした。
タイトルにもある通り、展示されていた作品は世界各地の古代工芸品なのですが、今、私たちが観ても圧倒されるほどの不思議なパワーが秘められていると感じました。
なぜなのだろう?
なぜ古代の人々はこんなにも力強い表現ができたのだろう、ということがすごく知りたくなりました。
そもそも、表現活動へと人々を駆り立てたものはなんだったのか、と。
今のように医療や科学が発達していない時代では、少しの変化(風邪をひく程度の体の変化や、雨が降らないといった自然の変化)でも命を脅かす大変な出来事でした。
そんな脅威が起きないように、という必死の願いが神への信仰心になり、その心の表出としての表現活動でした。
そして神様を表現する、という発想になっていきます。その神様像が人間だったり動物だったりするのですが、それはその土地の文化によって異なるそうです。
古代の人々にとって、表現は信仰心や権力を示す手段だったんですね。
けれど興味深かったのは、遠く離れた地域間での交流がなかったにも関わらず、どの地域でも同じような過程を経て作品が作られていたということ。
人間はどこで生まれ育っても、共通に持っている意識(本能?)みたいなものが必ずあるんですね。
発想といい技術といい、真剣さと必死さを作品から感じました。
手をかければかけるほど、神様へ近づくというか、よりその作品が崇高になっていくという考えもきっとあったのだと思います。
と、いろいろ考えていたのですが、純粋に眺めているだけで楽しめる作品が多かったので、私が気になった作品を数点ご紹介します。
「化粧用匙」
エジプト 新王朝時代、第18〜第20王朝
前1550〜前1070年、木
、、どこで掬うんだ?
とつっこみたくなるこの作品、面白いんですが実物を見るとすごく細部まで美しく手が込んだ作りで、ハッとしました。
「仮面」
グアテマラ マヤ文明
3〜6世紀、翡翠/貝
かなり目立ってました。
パカル王という王様の棺に埋葬された仮面。象徴として抽象的に表現したのか、本当にこう見えていたのか、すごく気になります。
女性像「スターゲイザー」
アナトリア半島西部
前期青銅器時代
前3300〜前2500年頃、大理石ほか
私は近未来的な形だと感じたけど、作者は全く違う観点からこの形に行き着いているのだと思うと、ワクワクしました。
そして、かわいい。
あまりこれほどにインパクトのある展示は最近見なかったので、これからもっと増えてくれると良いですね。