よく出る国公立大学教育学部の小論文出題例一覧
国公立大学の教育学部では、未来の教育者や研究者を目指す学生の適性を問うために小論文が出題されることが多くあります。小論文では、教育に関する社会的な課題や理想、現場での実践についての考え方が試されます。例えば、「多様性を尊重した教育のあり方」や「ICTを活用した教育の可能性」といったテーマがよく見られます。本記事では、教育学部の小論文でよく出題されるテーマや、押さえておきたいポイントを一覧形式でご紹介します。試験本番に備えて、事前に出題傾向を把握し、自分の意見を論理的に整理する力を磨きましょう!
国公立大学教育学部の小論文
国公立大学教育学部の小論文のテーマは、課題文を読んで論点を整理し、自分の考えをモベルパターンのテーマが大半を占めます。また、子どもに対してどのように接するかを問う、実戦的な設問も見られます。
北海道大学教育学部(後期)
問題1(1000字以内)
青木省三『時代が締め出すこころ―精神科外来から見えること』を読んで、筆者は「均一でないお互いを信頼し、その違いを尊重するとき、集団の力が最大に発揮される」と指摘し、「良質の不純な集団の中で、人ははじめて育つ」と述べている。筆者の主張に対する自分の見解を述べ、学校が〈人が育つ集団〉であるための課題について論ぜよ。
問題2(1000字以内)
佐伯胖「『学びほぐし(アンラーン)』のすすめ」を読んで、「まなびの型」を自己の経験に即して記述し、現代社会における「まなびほぐし」の意義について、自分の考えを述べよ。
秋田大学教育文化学部(後期)
学校教育ー教育実践(800字程度)
新聞記事「日本の30年後は明るい?」を読んで、日本の学校や教師はどう変わっていくと考えるか、自分の考えを文章の内容を踏まえて述べよ。
学校教育ー特別支援教育(800字程度)
特別支援教育は、障害のある子どもたちの将来をより豊かなものにするために行われているものとされているが、彼らにとって豊かな生活とはどのようなものであるか、自分の考えを述べよ。
学校教育ーこども発達(600字以上800字以内)
全国学力・学習状況調査の質問紙調査の年度変化を表した図を読み、予習と復習に関して読み取れることについて重要だと思うことをその理由も含めて3点あげよ。
学校教育ー英語文化(300語程度)
自分が英語教師になった場合を想定し、英語学習にやる気のない生徒からどのようにやる気を引き出すか英語で答えよ。
地域文化
松岡慧祐『グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体』を読んで、問1 傍線部①のように筆者が考える理由を本文に即して説明せよ。(200字以内)
問2 傍線部②の部分の筆者の主張に対する自分の考えを、具体的事例を交えながら論ぜよ。(800字程度)
山形大学地域教育文化学部(前期)
地域教育ー児童教育
問題1
「集合と命題」に関する数学の問題に答える。
問題2
「平成27年度 全国学力。学習状況調査」の結果を見て、小中学生の「理科の勉強」に対する考えや思いと「理科の授業で学習したこと」の有用性の関係について、表から言えることを答えよ。
問題3(400字以上600字以内)
苫野一徳『教育の力』を読んで、教師というプロフェッショナルを目指すために、自分は大学で専門知をどのように学ぼうと思うか。「覚え込む力」と「学び続ける力」という2つの語句を用いて考えを述べよ。
千葉大学 教育学部 前期
中学校教員ー社会科
問題1(800字以内)
日本の三大都市圏の転入超過数の推移を表した図1と、北海道全体と道庁所在地である札幌市について、同様に転入超過数の推移を表した図2を見て、第二次世界大戦後の日本社会の動向を踏まえたうえで、1955~2015年の日本の地域的な人口移動の特徴とその要因を述べよ。
問題2(800字以内)
東京新聞の記事を読み、言語の違いや障害の有無とは異なる「異文化の他者」の具体例を挙げて、なぜそうした存在が異文化の他者と言えるのかを説明したうえで、異文化の他者との共生の意義について自分の考えを述べよ。
中学校教員ー家庭科
間々田孝夫『21世紀の消費ー無謀、絶望、そして希望ー』を読んで、問1 傍線部①の成長主義的消費観とはどのようなものか説明せよ。(600字以内)
問2 問1を踏まえて、傍線部②の消費のマイナス面として考えられることを述べ、さらに、これからの消費の在り方について自分の意見を述べよ。(600字以内)
新潟大学教育学部(後期)
学校教員養成課程・学習社会ネットワーク過程
問題1(800字以内)国語教育専修
国語科教育において古典を扱うことの意義について、自分の考えを述べよ。
問題2(800字以内)技術科教育専修
佐藤洋一郎「食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧」を読んで、「産業」のグローバル化に対する自分の考えを述べよ。
信州大学 教育学部 前期
図画工作・美術教育
問題1
問1 ある絵画(モネの「日の出」)について、説明せよ。(200字以内)
問2 二つの絵画を比較し、それぞれの空間表現の特徴について述べよ。(400字以内)
問題2(600字以内)
自分の身近にある伝統的な文化について具体的な例を挙げ、それが自分の生活の中でどのような役割を果たしているかについて説明せよ。
三重大学教育学部後期
特別支援教育コース
問題1(800字以内)
星野道夫『旅をする木』を読んで、自分の特別支援教育に対する思いを述べよ。
問題2(800字以内)
「差別のとらえ方」と「教育の在り方」を説明した姜博久の文章を読んで、自分が今後これらの問題についてどのように考え、生きていきたいのかを述べよ。
国語教育コース
複数の資料を踏まえて、自分が教師になったらどのような国語の授業をしてみたいか述べよ。(1000字以上1200字以内)
音楽教育コース
私たちは一生学習し続けていく「生涯学習社会」を生きている。このような社会の中で、小学校の音楽の授業で育てたい能力とは何か。自分の考えを述べよ。(1000字以上1200字以内)
大阪教育大学
学校教育教員養成 小中教育専攻・中等教育専攻家政教育コース 前期
問題1
着なくなった衣類をもったいないと思い捨てられずにいたが、意を決してそれらを処分することに決めたというAさんの文章を読んで、
問1 Aさんがそれらの衣類を着なくなった理由を3つ考えて述べ、さらに、資源の有効利用の観点から、死蔵している衣類をどのようにすればよいか考え、それぞれの場合に必要となる注意点や工夫を述べよ。(600字以内)
問2 Aさんの今後の衣類の購入はどうあるべきか述べよ。(200字以内)
問題2
調理など食事に関わる作業を家庭外に委ねることを食の外部化といい、その中でも近年、弁当や総菜などの調理済みの食品を購入して家庭で食べる「中食」の利用が増加している。これに関して、
問1 「中食」が増加している理由について述べよ。(200字以内)
問2 「中食」の利用には、どのような良い面と悪い面が考えられるか、自分の考えを述べよ。(600字以内)
学校教育教員養成 小中教育専攻・中等教育専攻国語教育コース 前期
島内裕子『日本文学の読み方』を読んで、本文に続ける形で『徒然草』第百八十九段から読み取ることのできる「生き方の美学」を明示し、本文に引用されている3つの章段のまとめを論述せよ。(700字以上800字以内)
学校教育教員養成 小中教育専攻・中等教育専攻社会教育コース 前期
問題1(600字以上800字以内)
1964年と2016年に発行された中学校社会科教科書の鎖国に関するそれぞれの記述を読み、二つの記述にはどのような違いがあるかを述べ、なぜこうした記述の変化が起こったと考えられるかを述べよ。
問題2(600字以上800字以内)
「情けは人のためならず」ということわざについて、文化庁が平成22年度に行った「国語に関する世論調査」では、本来の意味とは異なる意味で理解している人の割合が50代以下の年齢層で高くなっている。このように本来の意味とは違う理解が生じたのはなぜか、社会的な観点を含めて考察せよ。
学校教育教員養成 小中教育専攻・中等教育専攻理科教育コース 後期
問1
レンズを通した時の光の区別の方法と予想される結果を説明せよ。(100字以内)
問2
ⅰ LEDと絵の具の色の見え方の違いを説明せよ。(50字程度)
ⅱ 緑の絵具が緑に見える理由について本文中のニュートンの実験から類推して説明せよ。(200字以内)
問3
身のまわりの光と色に関した事物・現象の具体例を一つ挙げ、光と色彩の関係に着目して、その原理あるいは仕組みについて科学的見地から論述せよ。(300字以内)
学校教育教員養成 小中教育専攻・学校教育コース 前期
問題1(600字以内)
河合隼雄『大人になることのむずかしさー青年期の問題ー』を読んで、「大人になることのむずかしさ」についての筆者の見解を要約したうえで、それに対する自分の考えを述べよ。
問題2(600字以内)
今井むつみ『学びとは何かー〈探求人〉になるために』を読んで、筆者の見解を要約したうえで、それに対する自分の考えを述べよ。
初等教育教員養成小学校教育前期
問題1(600字以上800字以内)
内田百聞『間抜けの実在に関する文献』・佐久間勝彦『アクティブ・ラーニングへーアクティブ・ティーチングから』の二つの文章を要約したうえで、学ぶということについて、自分の考えを述べよ。
問題2(600字以上800字以内)
鳥飼玖美子『本物の英語力』を読んで、文中の「何かを知りたければ、その度に、グーグル(Google)すればすむのに、なんで勉強して覚えないといけないの?」という子どもの疑問に対して、自分はどう答えるのか述べよ。
学校教育教員養成特別支援教育前期
菅野仁『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』を読んで、筆者の意見について、自分の考えを述べよ。(600字以上800字以内)
学校教育教員養成特別支援教育後期
向谷地生良・伊藤伸二『吃音の当事者研究』を読んで筆者が「担任教師の配慮は完全に裏目に出たことになります」と述べる理由について言及しつつ、このような事例の場合に担任教師として適切と思われる対応について自分の考えを述べよ。(600字以上800字以内)
養護教諭養成前期
問題1(800字以内)
河合隼雄・谷川俊太郎・山田太一『家族はどこへいくのか』を読んで、操作的人間観を超えた人間観、人生観について、作者の考えを踏まえ、自分の考えを述べよ。
問題2(800字以内)
鹿島和夫『満点ママ おかあさんあのね…子どもの本音、親のたてまえ』を読んで、新しい算数セットを買うか、古い算数セットを持たせるかを決め、その理由について自分の考えを述べよ。
教育協働 教育心理学科 前期
ルソーが『社会契約論』で「共同体の運営」について述べたことを坂井豊貴がまとめたものを読んで、
問1 文章から読み取れる「少数派が多数派の結果に従う正当性」について述べよ。(400字以内)
問2 文章にあるような「意志の一般化」を行った事例を自らの経験から一つとりあげ、そのことが自分もしくは社会にとってどのような変化をもたらしたかを述べよ。(800字以内)
教育協働教育心理学科後期
鷲田清一『「待つ」ということ』を読んで、筆者が言う「待つ」ことの意味を踏まえたうえで、具体例とともに、自分が考える「待つ」ことの意義を論じよ。(800字以内)
教育協働グローバル教育専攻多文化リテラシーコース前期
問題1(600字以上800字以内)
伊藤整『小説の認識』を読んで、文章を「倫理性」「技術性」という2つのキーワードを用いてまとめたうえで、それに対する自分の意見を述べよ。
問題2
広瀬正浩『戦後日本の聴覚文化ー 音楽・物語・身体』を読んで、
問1 傍線部「交通概念の負の性格」について説明せよ。(200字以内)
問2 ここで坂本が述べている「植民地主義」とはどのようなことか、「脱コンテクスト(脈絡)化」「翻訳」を文中に用いつつ論述せよ。(600字以内)