【大学入試小論文】慶應義塾大学法学部FIT入試(2014年度)の解答例「反論」
慶應義塾大学法学部FIT入試では、与えられたテーマに対して自分の意見をしっかりと述べることが求められますが、その中でも「反論」を効果的に展開することが重要です。本記事では、2014年度のFIT入試の解答例をもとに、反論をどのように組み立てるべきかを解説します。反論のポイントを押さえることで、説得力のある小論文を作成するためのコツを学びましょう!
問題「昔、エジプトの発明の神テウトが文字を発明し、神々の王タモスに言った。「文字を学べば、知恵と記憶力が高まります」と。それに対しタモスは次のように答えた。「人々が文字を学ぶと、記憶力の訓練がなおざりにされ、忘れっぽくなる。また、文字が与える知恵とは外面的な知恵であり、人は見かけだけの博識家となり、うぬぼれてしまう。」テウトになりかわってタモスに反論し、その反論に対しタモスになりかわって再反論しなさい。」
【ある人の解答例】慶應(法・FIT)2014年度「反論」
テウト
「仰る通り、知識は個々の人間の中に確かに内在していますが、文字を使うことはその知識を最大限に活用する手段です。知識を記録することによって、人はそれを後で振り返り、反芻し、新たな視点を得ることができます。また、記憶力の限界は確かにありますが、文字を用いることで人々は無限に知識を蓄積し、さらにそれを他者と共有することが可能になります。文字は、記憶の補完としての役割を果たし、かつ知恵の伝承手段としても不可欠です。だからこそ、文字を学ぶことは、単に記憶力を強化するためだけではなく、思考の幅を広げるためにも重要なのです。」
タモス
「あなたの言う通り文字が記録として有益であることは理解できます。しかし、文字に頼りすぎることで人間本来の持つ柔軟な思考や創造性が失われる恐れがあるのです。確かに記録を残すことは伝承の一つの方法かもしれませんが、それが人間の意識に埋もれている直感的な知恵や感覚に取って代わるべきではないと思うのです。文字を学ぶことで、見かけの知識が増える一方で、真の理解力や内面的な成長が欠けてしまう危険があるのではないでしょうか。私は、人間が自分の頭と心でしっかりと学び、記憶と直感を駆使して成長することが、最も価値のあることだと信じています。」
ポイント
テウトの立場からは文字の効用が強調され、その知識の活用や伝承の重要性が語られています。一方で、タモスは文字に依存しすぎることによる人間の内面的な成長への影響や本来の才能の埋没を懸念し、人間の無限の可能性に注目して反論しています。両者の立場は、文字の利用と人間の本質的な能力をどうバランスを取るかという問題を深く掘り下げています。