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大学入試小論文「東京都立大学都市環境学部(2018年度)解答例」地球温暖化について

大学入試小論文では、環境問題が頻出テーマのひとつです。特に地球温暖化に関する課題は、持続可能な社会を目指すうえで重要な論点となっています。今回は、東京都立大学都市環境学部(2018年度)の小論文試験で出題された地球温暖化に関する問題を取り上げ、解答例とともにポイントを解説します。具体的なデータを使った説得力のある議論の組み立て方や、環境学の視点を活かした考察の方法を紹介しますので、同じテーマの小論文対策に役立ててください!

【問題】東京都立大学都市環境学部(2018年度)小論文
「地球温暖化と二酸化炭素排出量の関係」および「地球温暖化対策」について以下の 注意事項に従って 800 字で述べよ。
1、「地球温暖化と二酸化炭素排出量の関係」と「地球温暖化対策」の文章量はそれぞれ同じ程度となるようにしなさい。
2、「地球温暖化と二酸化炭素排出量の関係」については図1と図2のデータに基づいて議論しなさい。
3、「地球温暖化対策」については、科学技術に基づく対策を提案し、原理を含めて多角的な視点から述べなさい。

【ある人の解答例】東京都立大学都市環境学部(2018年度)小論文の解答例

2つの図から、大気の平均気温は、二酸化炭素の排出量の増加の後を追うように上昇していることがわかる。つまり、CO2の排出量が増加した後に、気温が上昇する時期が来るのだ。

1860年におけるCO2の排出量は0トンに近く、1950年ごろには約500億トン/年、そこから急激に増えて1990年には2200億トン/年に達した。また、気温は1860年約14.7℃から1990年15.3℃へ約0.6℃上昇している。気温の急上昇は、1910年頃から1945年頃までと1980年以降の2回あるが、同時期においてCO2の排出量は比較的緩やかだが、その後に急激に増大した。つまり、植物や海が吸収しきれないほどのCO2が大量に排出された後は、必ず地球の気温が上昇するといえる。

この原理はCO2のような温室効果ガスが増えると地表の熱の吸収率が増えて地球温暖化に繋がることだ。適度な温室効果ガスは地表の温度を保つが、現在は温室効果ガスが増えて必要以上に熱を吸収している。

私は、地球温暖化対策として、CO2を排出削減する「緩和策」と気温の上昇に対応する「適応策」の両方を進めることが大事だと考える。まず、「緩和策」では化石燃料の使用を減らすことが重要だ。化石燃料はCO2を排出するため、その代替となるバイオマス燃料などに切り替え、火力発電から太陽光発電や風力発電に移行する。またCO2を燃料としてエネルギーに変えるカーボンリサイクルの技術を早期に実用化するべきだ。さらに森林を保全し、CO2を吸収する植物を増やせば、地球温暖化を抑制することができる。

次に「適応策」では、農産物の高温に対する耐性のある品種を育成することなどが例として考えられる。また熱帯で流行するような感染症に対する対策や、地球温暖化が引き起こす水面上昇への対策として高潮防止堤防を作ることも必要だ。私はこの「緩和策」と「適応策」を組み合わせた対策をするべきだと考える。

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