小坊主の備忘録
プロフィールにもある通り、私には3つ目の顔がある。
「時々小坊主」。
自宅から車で5分の所にある実家は、浄土真宗の寺です。
3姉妹だったうちは、長女が住職を継承。隠居した父と私がたまに手伝う。
私の出番は、主には夏の「盆勤め」と冬(温暖化によりどちらかというと秋)の「お取り越し」で、御門徒さんのお家に伺いお経をあげるとき。
浄土真宗においては、お盆もお取り越しも、それをご縁として阿弥陀様のみ教えに会わせていただく、というような意味合いがあります(私の意訳。突っ込みは受け付けかねます)。
うちの寺では、報恩講を10月中旬に寺で勤めたあと、11月前半に各御門徒さんのお家に伺って、仏壇に参らせていただく、というのが通例です。
今まさに、3人で分担をして御門徒さんちを回らせていただいているのですが、私もUターンして10年くらいたつので、小坊主仕事も10年になります。私も10歳年を取りましたが、御門徒さんも10歳…歳を重ねておられますwww
お一人になられたおうち、施設に入られたおうちなどもありますが、中には代替わりされたおうち、ご家族がUターンして増えたおうちなんかもあります。
親戚でも友達でもない方のお家に定期的に上がり込み、一緒にお経を読んで雑談(すみません、私は法話ができませんww)するなんて、坊さんにしかできないですね。
先日は、集落の同じ班のおばあちゃんがこんど施設に入るということで、お隣さんと一緒にあいさつに行きました。施設に入るということは、もう家には帰ってこないということなので、ちゃんとこうやって挨拶できるのはありがたいです。
このおばあちゃんは、たまたま同じ施設の斜め向かいの部屋に、10歳年上のお姉ちゃんが入居しているとのこと。ティーカップを2つ持っていくことにしたそうです。
まさか、幼いころしか一緒に過ごしていなかった姉妹がまた同じ屋根の下で暮らすなんて、運命を感じます。
一緒に訪問したお隣さんが、そのおばあちゃんに、「あなたがいなくなったら私が一番高齢になるから、ちょっと確認しておきたいことが…」と、集落のもういないおじいさんの家族構成について、確認されていました。
「ああ、〇〇ちゃんは、わたしよりも2学年下で、▽▽君は1つ上だから、▽▽君のほうが、年上だったわね」
かつて、70年前くらいは、このかその集落のほとんどどの家にも複数のこどもがいて、庭にも小径にも雑草が生えるいとまがなかったとか。
そんな時代からこの景色の中に暮らし、今の過疎、高齢化の進んだ集落をどのように見ておられるのか。
でもみなさん、穏やかに日々くらしておられる。そんな人たちの中にいて、私も穏やかな気持ちで日々を重ねています。
これから何人の集落の方々を見送ることになるのかわかりませんが(私がうっかり先にということもあるかもしれませんが)、穏やかな暮らしの先に、その日を迎えることが出来ることを願うばかりです。