【微艶小説】わからなくなる
薄暗い寝床でふっと目が覚める
途端に隣の男の名前が分からなくなる
黒い物体としてそこに横たわる男の名前はなんだったか・・・?
黒いシルエットに目を凝らす
平和な寝息に聞き耳を立てる
不思議な感覚だ
覚醒している時、その黒い物体は確かに愛すべき男であるはずなのに
こうして予期しない時の狭間では
それはただのうざったい黒い塊だ
『落ち着こう』
自分に言い聞かせる
落ち着いて思い出せば、
多分、思い出せる
名前は…
〇〇…△△…
半覚醒のせいか、うまく思い出せない
違う違う、それは前のやつだから
今の、今のでなきゃ
そのうち思考は暴走しだす
なぜこの男の横にいるのかしら?
いいや、訳は分かっている
経緯もちゃんと思い出せる
そこにはちゃんとLOVEがあって、
それなりの歴史があってここに居る
なぜこの退屈な男の横にいるのかしら?
その思考はBADだよ
やめた方がいいよ
分かりやすく天使と悪魔が会話でDANCEする
そうこうするうちに
私は葬式をあげる
私の隣で平和な寝息を立てる男との決別だ
この男との歴史に幕を引く
まだ薄暗い時間の
密やかな儀式
涙するのは、わたし
彼との幸せな時間にセンチメンタル
私の魂は自由だ
せなには、白い翼が大きく開く
けれど、次の男にも多分、
同じようなうざったさを感じるだろう
それは、私が私に課した手錠だからだ
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喜びの循環^^