【微艶小説】どちらがお好みかしら?
情事の後の、ホテルを出る為のメイクと
情事に向かう、家を出る為のメイクと
どちらがエロティックかしら?
なんとなく、出掛ける用意の(情事には向かわない)アイブロウを真剣に描いている時にふと思い浮かんだフレーズだった
そんなのは結局気分の話だし、
そんなことに気を向ける人は私くらいか
…そこらのゴシップよりくだらない
それより重要なのは、
眉のラインの黄金比率を把握してるかってこと
何故なら、女にとって一番大切なのは眉の優美なラインとリップラインだから
✴︎
ある時、メイク直しにリップブラシで口紅を引いていたら
『筆を使う方がいいの?』
って、聞かれた。
不意を突かれたから、その時は曖昧な返答でやり過ごしてしまったけど
美容部員の経験があるせいで
口紅をそのまま唇に押し当てることはない
口紅のスティックで曖昧に引かれたそのリップラインは、そのままボディラインを表すんじゃないかしら
それはすなわち、
ブラシも使わず口紅のスティックをそのまま唇に押し当てられてしまう自分への雑さが
その内面が、
そのままボディにも表れるんだわ
✴︎
ホテルの部屋でシャワールームの大きな鏡に映る自分の裸体と
自宅で入浴前に洗面所の鏡に映る自分の裸体に
同じくらいのエロティックを込めて覗き込めれば、何かが変わる
いや、変化はいつでも起こっているのに
それに気づかない鈍感な自分がいるだけ
雑に引かれたリップラインに嫌気がさしますように
自分が唯一無二の女王様だと気付けますように
男にとったら、情事の後の女のメイクなど、どうでもいいことだろう
理解して欲しいのは、どちらも自分の為のメイクだということ
喜びの循環^^