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微艶小説

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艶のある小説群。しっとり気分の時に書いてます。 20.8.30.Kindleにて出版『微艶小説集』
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2019年7月の記事一覧

【微艶小説】わからなくなる

【微艶小説】わからなくなる

薄暗い寝床でふっと目が覚める
途端に隣の男の名前が分からなくなる

黒い物体としてそこに横たわる男の名前はなんだったか・・・?

黒いシルエットに目を凝らす
平和な寝息に聞き耳を立てる

不思議な感覚だ
覚醒している時、その黒い物体は確かに愛すべき男であるはずなのに

こうして予期しない時の狭間では
それはただのうざったい黒い塊だ

『落ち着こう』
自分に言い聞かせる
落ち着いて思い出せば、
多分

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