【海外幼児教育&カナダ公立小学校】子どもが持つ5つの欲求
こんにちは!
カナダの小学校でお仕事をしているNorikoです。
今回は「子どもが持つ5つの欲求」というお話です。
私はカナダの公立小学校で幼児教育者として働いています。
私の職場では900人以上の生徒が学んでいます。カナダの教育現場も日本と同じで、さまざまな問題を抱えている子どもがいるのが現状です。
私が幼児教育者になった大きな理由の一つが「子どもたちが大人の適切なサポートを受けることができれば、苦しい小学校生活を送る生徒が減って、もっと素晴らしい世の中になるんじゃないかな」という自分の中の社会実験的な要素がありました。
幼児教育者になるためのカレッジで学んだ中で、基本中の基本だけど、子どもの欲求を観察することが大事だと学びました。
マズローの欲求5段階説というのを知っていますか?
人間には5段階の欲求があって、低次元の欲求が満たされると順々に高次の欲求を求めるようになる、という仮説です。
第一段階は「生理的な欲求」です。食欲、排泄欲、睡眠欲などの生命の活動に直結した欲求です。私は生徒が学校生活に集中できてない時にまず聞くことは「ちゃんと寝れた?」「お腹空いてるの?」から会話を始めます。
日本の子どもは忙しくて睡眠時間が短いんじゃないかと感じることがあります。例えば我が家の小学3年生の息子は、夜8時に寝て朝6時30分から7時にかってに起きてきます。周りの家庭に聞いても大体同じような時間帯でした。
また、カナダの小学校には子どもたちが自由に手に取ることができるスナックがあるところが多いです。
小さい子どもは、なんで頭がぼーっとしているのか、空腹時の身体のサインなどに気づきにくい&対処の方法を知らないことが多いので大人の適切なサポートが必要な時もあります。
第二段階は「安全・安定の欲求」です。危険や脅威、不安から逃れようとする欲求です。小さい子どもは親から離れて新しい環境に入った時、そこが自分にとって安全な場所なのか、怖い人はいないのか、頼ることのできる人はいるのかという不安があります。毎日何が起こるか未知の世界です。
私のクラスではルーティンを大切にしています。毎日同じような予定の繰り返しを心掛け、今日の予定表を張り出し(休憩時間、昼休み等を含む)朝に子どもと一緒に見てみることで、子どもたちが今日は何が起こるかが予測できるようにしています。
第三段階は「所属・愛情欲求/社会的欲求」です。集団への帰属や愛情を求める欲求です。子どもにとって自分の居場所があることはとても重要です。学校という長時間他者と過ごす特別な環境の中で、友達や頼ることのできる大人に囲まれて自分の居場所があるかどうかは大切な要素です。大人でも新しい職場に行った時、自分の机、パソコンや必要な機器、自分の名前がついたロッカーなどがあると自分の居場所がわかって安心すると思います。また学校は子どもたちが人間関係を築き、学ぶ、大切な場所でもあります。友達がいる喜び、他者との関わり合い、大人との接し方、集団の中での自分の役割など、多くの子どもにとって本格的に人間関係を学ぶ機会になります。
第四段階は「自我・尊厳の欲求/承認欲求」です。他者から尊敬されたい、人の注目を得たい、承認されたいという欲求です。承認欲求は人間に備わっているごく自然な欲求で、大人も子どもも大なり小なり、この欲求を満たしたいと思っています。子どもが「見てみて〜」と色々な物を見せてくれるのは第三段階までの欲求が満たされている証拠です。
第五段階は「自己実現の欲求」です。自分の信じる目標に向かって自分を高めていこうとする欲求です。潜在的な自分の可能性や創造性へのチャレンジなどに取り組むことができるようになります。子どもが新しいことや少し難しいことに臆することなく挑戦してみよう、苦手なことにも取り組んでみようという姿勢は第四段階までの欲求が満たされているということが予想されます。
生理的な欲求を満たし、安心安全と感じる環境を提供し、子ども自身が居場所がある/この学校に属していると感じ、自分の感情表現が出せる場があり、新しいチャレンジや困難なことに挑戦するときにそばに誰かがいてくれる、そんな環境が整っている学校が子どもたちの精神面を整えてくれると思います。
この土台が小さい頃から少しづつ形成されていくと長い学校生活や社会生活が過ごしやすくなります。
今回は「子どもが持つ5つの欲求」というお話でした。まだまだいろんな経験をシェアーできたら嬉しいです。引き続き応援よろしくお願いします。