《漢方処方症例検討》40年以上のアトピー性皮膚炎
中医学・漢方薬・薬膳が大好きな方や、お勉強中の方に症例の弁証から投薬までについて書いています。
お客様から承諾をいただいて、シェアさせていただいています。
ありがとうございます。
後半は、私がした診断と選んだ漢方薬を書いていますので、ぜひご覧下さい。
今回の症例は、40年以上のアトピー性皮膚炎が漢方薬服用後12日で、かなり改善されたというものです。
ご相談内容
神戸市中央区の漢方薬店で、漢方カウンセラーとして診断して10年。
「本物の中医学」で薬膳を伝えて15年。
10000人以上に中医学で心を笑顔にしてきた池田のりこです。
薬膳のセミナー、講演、企業様での研修、漢方薬のカウンセリング、レストランの薬膳監修などをしています。
漢方相談の方の症例で、主訴は「40年以上のアトピー性皮膚炎」です。
問診日:2023年9月21日(木)
情報:Aさん(60代女性)
主訴:アトピー性皮膚炎
高校生のころからアトピー性皮膚炎の症状が出ている。
いろいろなことを試してきたけど、望むような結果は出なかった。
現在、内服ステロイド、塗り薬、週に2回の注射をしている。
ステロイドや注射を止めたい。
痒みが強くあり、寝ているときに掻きむしってしまうことがある。
頭皮も痒く、フケのようなものが出る。
皮下出血もあり、肌全体がくすんだ感じがする。
随伴証:
手足が基本的に冷たい
足の甲がむくむ
左手薬指がピリピリする
唇が荒れる
便秘がちでガスが溜まりやすい
寝付きが悪く熟睡できない
家族に対してのストレスが大きく、イライラしやすい
舌診:
舌辺尖紅、滑台、やや膩苔、胖大、内風あり
舌下静脈が細で怒張あり
診断のポイント
アトピー性皮膚炎は大きく分けて、カサカサしている乾燥タイプと、ジュクジュクしている湿熱タイプがあります。
Aさんはカサカサしているタイプでした。
中医学では血虚を疑うのですが、血虚になる原因を見つけていきます。
かゆみを伴うアトピー性皮膚炎はストレスも多く、元々血虚の方はさらに血が減って血虚が進行します。
本来なら、減ったものを補充するのですが、製造工場の脾がストレスや緊張によってあまり仕事ができていませんでした。
このタイプの方が、1日に水を2リットルも飲んだら、悪化してしまいます…。
加齢とともに内臓も動きが悪くなるので、できるだけ早く脾を整えたいと思いました。
弁証と治法
ここからは、診断からの弁証と治療法則、選んだ漢方薬について解説します。
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