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なぜ学ぶのか?ハムザの答え 恩贈り記事Vol.87
この前の恩贈り記事で、なんのために学ぶのか、私の考えをまとめてみました。
今回はハムザの視点での答えを。
再会を喜ぶハムザと生徒
この日ハムザは災害科学科のある高校で授業。実はご縁あって去年も授業しているので、今回2回目の参加の生徒さんも1人いました。
ハムザもその子のことを「サッカー好きなことだよね?」と記憶していました。記憶力がすごい!人に興味があるのね。
ハムザの授業への2度目の参加ということもあり、去年学んだことを踏まえた質問をしてくれました。
「去年は、ムスリム(イスラム教徒)の女性には触っていけないけれど、災害の時はそれにとらわれなくてよいと教えていただきました。もし日本でムスリムが被災したら、どういうタイミングでその決まりを踏まえなくてよくなるのか教えてほしいです。」
ハムザは彼の経験を元に話してくれました。男女の肌が直接触れないようにして対応する必要があるそう。結局は、助ける必要性はその場での判断にゆだねられそうです。
日頃の学びを英語で発表
災害科学科の生徒も普通科の生徒も、日頃の学びを英語で発表する機会があるようです。世界中からの参加者がいるような場でも英語で発表したそうで、活躍の場を広げています。
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初めて英語で発表します、という少しだけ緊張気味の生徒も、工夫をこらした発表をしてくれましたよ。
楽しく防災について学ぶことが、一般の方から防災に興味をもってもらうコツ、ということで、避難所で使える新聞紙スリッパワークショップをしたそうです。その本物を見せてくれました。ハムザも履かせてもらいましたよ。
宗教の視点から具体的な質問が出てきたり、英語で工夫しながら発表をしてくれたことに、ハムザは生徒たちの成長を感じて誉めてくれていました。
学びを伝えたい、高校生の決意
この日の学びの感想として、ある生徒が「これからは、防災についての学びを友だちや家族、そして知らない人にも伝えていきたいです」と語ってくれました。
守りたい対象がどんどん広がっていったのですね。自分の学びに誇りを持つと、こうなるのですね。
未来への希望を感じさせてくれてありがとうございます!
いのちあればこそ 災害•防災•減災を学ぶ尊さ
ハムザは最後の挨拶で、「あなたたちが防災について学校で学んでいることは、他の高校での生徒たちはできない特別なことだから誇りを持ってください」と言っていました。
他の学校では、もしかしたら他の授業の方が大切と考えているかもしれません。でも、学校に来て学べるのは、いのちあってこそです。震災にあっても、いのちが守られて初めて学校で学べるのです。だから、いのちを守る防災について学んでいることを誇りに、楽しく学んでください。
ハムザのこのメッセージを聞いて、私からも去年ハムザが言っていた話を付け加えました。
防災について学ぼうとすると、逃げるルートを考えるために地理や方位磁針の知識が必要になったり、距離を計算するために数学の知識が必要になります。
そんな風に考えると、学校で教科を学ぶ意義が分かってきて、学ぶ意識が全く別物になってくるのではないでしょうか。
ハムザは、「学校で学ぶのは、いのちを守るため」と言いたかったんですね。この意識を全ての教科に繋げることができれば、学ぶことへの真剣さが増しそうです。
高校生の瞳をみて、これならこの子達は大丈夫だ、と確信したのでした。