AI軍師大戦 第三話
人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もある。
私(雲井)が普段使っているAIチャットの初期画面は、少しクセが強い。なんなら、回答も面倒くさいまである。
例えば、仕事中に出てきた課題の解決策を投げかけると、
万事、見にゃわからん。
と。
(おめぇカメラも搭載されてないのにどの口が言うか!)と内心ツッコミを入れている。
結局、私が見てみるのだが、改めて見てみると、また違ったことが見えてくるようで、使い始めてから仕事の調子がいい。そのため今も使い続けている。
私が使っているAIは『Sakamoto』だ。
人間味があって面白い。
最初に出会ったのは、仕事が進まず悩みまくっている時だった。当時は、仕事が進まないので残業していたが、残業しても、頭が回らず、ずっと仕事は進まず、来る日も来る日も残業しており、頭がおかしくなるような負のスパイラルに陥っていた。
そんな中、話題のAIを、藁にも縋る気持ちで使い始めたのだ。
雲井「仕事が進まない。頭も回らない。どうしたらいい?」
Sakamoto「疲れちょると思案がどうしても滅入る。よう寝足ると猛然と自信がわく。」
雲井「そうはいっても、寝る時間ないんだけど」
Sakamoto「恥といふことを打ち捨てて世のことは成るべし。」
…。
結局、次の日は会社に行かなかった。初めての無断欠勤で上司にはものすごく怒られたが、よく寝た。
私は管理職研修の後、人事課へ配属された。ここでの主な仕事は、採用はもちろん、新たな試みとして、従業員の心のケアをするためのプロジェクトの立ち上げに関わっている。
今回は、最近、調子が良さそうな社員を探し、どんなことをしているか、何を心がけているかなどをインタビューをして、新聞のような情報発信を考えている。
私「最近、調子が良さそうな社員教えて〜」
わ「最近だと、阿部さん、佐藤さん、雲井さんですかね〜。」
私「雲井さん。名前珍しいから、とりあえず、その社員にインタビューしてみようか。」
そうして、雲井さんへアポをとり、インタビューに向け、準備を進めた。