「それってあなたの感想ですよね」が使われたときの対処の方法
【「流行語大賞」になった「それって。。。」】
「それってあなたの感想ですよね」と言う議論で使われる言葉が2022年の流行語大賞になった。最近は子供が親に対しても使うことが多いらしく、親は困った時代になった、と言えるだろう。
【「論争」をショーにするときに使う】
実際、この言い方は「論争」をショーにして、それを仕事にしてお金をもらう、という立場の人が、「相手を言い負かす」という「論争のショー」をより面白くヒートアップさせるために使うことが多いようだ。その方が商売としてのショーが面白くなるから、という以外の目的はない、と言っていいだろう、と私は思う(私の感想ですがね)。なぜならば、普通の会社の中などでの論争は「社業の発展」など、同じ目的を持った人どうしの論争であることが多く、双方が納得できる「落とし所」が、論争を始めるときにはモヤモヤしていても、論争しているうちに想定される落とし所がなんとなく見えてくる、というものだからだ。論争が「感情的な喧嘩」になること自身が退職などにつながると、その「大目的」が失われることになるので、論争の意味そのものが失われるという「ライン」が予め引いてある、ということも、社内などの論争では言えるだろう。
【言われたときの対処の方法】
「それってあなたの感想ですよね(誰にもわかる形でその論拠になるものを示してください)」ということを言われた場合は「おっしゃる通り、私の経験から考える、私の感想です」という「返し」で十分だろう。それ以上は言う必要は無い事が多い。つまり、そこで「話の腰を意識して折ってしまう」ようにして「面白いショーになる論争」にしないことだ。そこでショーは終わるから、どちらも傷つかずに終わる(ことが多いはずだ、多くの場合は - 私の感想ですけどね)。
【「論争ショー」がなぜショーになるか?】
実は「それってあなたの 感想ですよね」は「論争ショー」という商売だから成り立つ言い回しで、そこでは「対立=喧嘩」をショーにして盛り上げて「戦う」という構図を「暴力などで見せる」というプロレスのようなところがある。それはビジネスとしての興行なので、面白くないよりも面白いほうがいい。面白い対立ショーは、感情のほとばしりをビジュアルにして「見せる」ことが、商売のポイントになるので、このようなやり方が使われる。つまり、プロレスのプレイヤーの双方がお互いに「相容れない対立」を持つものとして描かれ、そのレールにそれぞれが載っている、ということがなければ、論争というビジネスにならない、という側面がある。「それってあなたの感想ですよね」はショービジネス用語なのだ。
【昔あった「カラスの勝手でしょ」】
その昔、「カラスの勝手でしょ」という言い回しが流行ったことがあった。これもまた、子供の行動に親が口を出すと、子供の反論として使われる、という場面も多かったと聞いている。この言葉の性質や中身は「それって。。」とは違うが、共同体的な「相互関心の原則」を切り捨てた「無関心」を、表に出す時代がその時始まった、という意味で、社会の変化を考える上で非常に興味深いコトバであったのを思い出す。
【「それって。。。」の社会的役割】
実はこの「それって。。」も、おそらく社会的役割があって、表に出てきたものだろう。私が考えるに、それはおそらく「同じ場所にいる同じ人間同士が同じ価値観などの基盤を持たなくなっている現代という時代」を映したものだろう、と思うのだ。つまりものを考えるための論争の根底にある、誰もが持っている共通の基盤が、かなり奥深くまで掘り進めないと見えない時代になったのじゃないか?そんなことを思ったりする。