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「スマホ複数持ち」は有利か? ~「もしも」の計算~

【Amazonアプリが動かない】
2022年6月1日から2日にかけて、twitterでも話題になったが、AmazonのアプリがiPhoneで動かない、立ち上げた途端にアプリが終わってしまう、というトラブルがあった。そのとき、AndroidのスマートフォンもPCも調べたら、こちらは正常に動く。仕事の関係で普段から複数の端末を持っていた。だから、実害は無かった。「その時使わなければ良いだけ」ということもあるだろう。実際、このトラブルは1日で正常に戻った。

【もしもAmazonではなかったら】
Amazonは通販のサービスのためのアプリだ。だから、よほどのことがなければ「使わない」でしばらく過ごすことはできただろう。Amazonがだめなら、楽天もある、ということだって、利用者はできないわけではない。もちろん、それは利用者にとって、であって、Amazonという会社はサービス停止の時間の間、大きな損失があった、と言うことになる。しかし、Amazonにかぎらず、スマートフォンのアプリにはトラブルがこれまでもあったのは、ご存知の通りだ。これが、緊急を要するアプリであった場合はどうだろう?緊急の行政サービスをサポートするアプリであった場合はどうだろう?アプリを使わない古い仕組みが残っているサービスであれば、その「古い仕組み」を使えば良いのだが、安定して長期で動いているサービスのアプリであれば、古い仕組みは使えなくなっている可能性もある。その場合はどうなるのか?

【「事故」とは想定しないことが起きること】
様々なシステムの開発を長く仕事にしていると、必ず問われるのは「もしもサービスが何らかの原因で動かなくなったらどうするのか?」ということだ。システム開発をしていると、原因不明でサービスが使えなくなることがある。動かなくなるのは一部であったり、全部であったりする。サービスを提供するシステムの開発では、通信回線そのものが切れたとき(これは通信会社の責任範囲で、通常のシステム開発では自分の責任範囲外だ)なども考えてシステム開発を予めしておく。さすがにスマホそのものが壊れたら?電池が切れたら?ということまで考えることはほとんどないが、それでも重大な事故を知らせるアプリなど、人の命にかかわるものはそれも想定することがある。システム開発時のサービス提供の原則は「絶対に止まらない」だが、どこでなにが起きるかわからない、というのを「事故」と言うのだ。そして、事故は起きる時には起きる。そして、事故のときほど、必要性が増すサービスもある。

【原則は「複数のパス(通り道)」を作って置くこと】
例えば、巨大地震が都市で発生したとき、被害状況を警察や消防などに緊急で知らせる、という必要がある。そんなときに、「アプリ」どころか「スマホの電波そのものが切れた」とか「スマホの電池が無い」なんてこともあるだろう。通販サイトが使えない、というくらいであればまだいい。「使えないときは使わない」で済むだろうが、人命にかかわるシステムなどでは、このあたりの「フェイルセーフ(予期しないことが起きたときの対処)」の仕組みは重要なことになることは言うまでもない。そのためのコストも惜しむわけには行かない場合がある。

【「通販が使えない」は問題なかった】
結局、今回の場合は、だが、通販が使えない、と言う程度でも不便は不便だったことは言うまでもない。結局、iPhoneもAndroidもPCも普段から使っているから、そのうちの1つが使えなくても、なんとも無く過ごせた。それは「もしも」のときのために普段からどれだけコストをかけられるか?というお金の問題でもある(自分の場合は他の仕事で使っていたものが使えたわけだから、かけたコストはほとんどなかった)。機器もさることながら、今は通販サービスもAmazonだけではないし、そのあたりは良くできているもんだ、というくらいのものだ。

【「見えないところ」でかかっているコスト】
「もしもの時のためのコスト」というのは普段は見えない。そのコストはどう考えれば良いのだろう。

1.もしものときが起きたとき大きな被害が想定されるなら、普段からお金をかけておこう。
2.もしものときが起きても大して大きな被害ではないのであれば、お金をかけなくても良い。

当たり前と言えば当たり前の話だが、これは個々の場合によって、同じサービスでも、個々人で「重さ」も違うから、それぞれが自分で考える必要があることだ。要するに、

1.止まったら止まったで動くまで待てば問題なし、というサービス
2.止まったら人命が失われるとか、巨額のお金が飛んでいくので大変なことになるので、止まったときにできるだけ早く復旧する、あるいは他のパスを用意する、というサービス

というのをちゃんと分類してから、サービスの開発をする必要がある。そして、この「見えないところ」にかかっているお金の大きさを予測し、システム開発の見積もりを行うことになる。「見えないところ」に多くのお金がかかっているシステムがあるのだ、ということは、利用者も覚えて置くと良いだろう。サービスに払うお金が妥当であるかどうかがわかるからだ。

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