日本の巨大通信会社がいち代理店になる?
【「生成AI」の裏で盛り上がる「衛星ブロードバンド」】
米国では、現在「衛星インターネット(英語ではSatellite Broadbandという)」が大きな潮流となっている(以前に書いたnote記事)。しばらくすると、インターネットプロバイダ(Internet Servide Provider)といえば、衛星インターネットのことを指すようにさえなるだろう。日本のIT系ジャーナリストやライターの多くが「ChatGPT」などの「生成AI」に気を取られている間に、そのAIを支えるインターネットのインフラに大きな変化が起きようとしている。日本では現在書店に行っても、衛星インターネットについての書籍はまだこの時点では無い。生成AIについての書籍は溢れているのだが。
【Starlinkから、あっという間に】
2022年後半から2023年前半には、イーロン・マスク氏の会社「SpaceX」の「Starlink」が日本全土でも使える様になり、日本でも利用者が少しずつ増えている。既に2023年、米国ラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)では、世界中のスマートフォンの心臓である半導体「SoC(System on Chip)」の開発元であることで有名なQualcomm社が衛星に直にスマートフォンから接続する機能を持ったSoCである「Snapdragon Satellite」をリリースする、とアナウンスしている。これは、既に来年に発売されるスマートフォンの新機種に入るかもしれない。通販大手のAmazonも、Starlinkと同じサービスを独自に来年に始める、と公にされているが、そのAmazonが米国の携帯電話大手「ベライゾン」との提携を行う、というアナウンスをしている。ということは、明らかに「衛星インターネット携帯」を見ているのだろう、と推察できる。この提携の将来はAmazonお得意の「低価格」だけではないのだろう、と想像できる。
【既に動いている「衛星接続スマートフォン」】
日本ではそんなに多くは報道されていないので印象が薄いとは思うが、iPhone14の目玉機能の1つに「緊急時の衛星通信機能」がある。山奥などキャリアの電波が届かない地域でのiPhoneでのSOSの報告がいくつか上がっている。現在のiPhone14のこの機能では、衛星でインターネットができるほどの速度はないので、文字テキストのみだ。
【衛星インターネットが一般的になるとどうなるか?】
1.NTTなどの世界の通信会社が「SpaceX」「Amazon」などの通信回線を持つ会社の販売代理店になる。電柱、光ファイバー、交換機、それを入れる建屋、それらの保守などにかかる費用が必要無くなるので、そのほうが原価が安い。
2.戦争、紛争、自然災害地域での通信の途絶えがなくなる。
【実はそこを目指していた】
衛星インターネットのプロバイダをするには、多くの数万と言う衛星の打ち上げが必要だ。数年後には数十万のプロバイダの衛星が上がると予想されている。そのためには、できるだけ低価格での衛星打ち上げができなければならない。日本のH3ロケットはそれを目指していた。
時代は動いている。
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