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全部が正しく動いてれば、ね。
【結論:なにが間違っているか?】
結論を言えば、人間社会の中で動いているものは、全て(そう、全てが、だ)「予期しないトラブル」があって「当たり前」という視点が最近のシステム構築では欠けている、と思わざるを得ない。
【クラウドはいいですよ、でも】
最近のシステムはクラウドが使われることが多い。代表的なものはクラウドストレージだろう。スマートフォンで撮った写真を即座にクラウドのストレージに上げると、次の瞬間からPCでもその写真が使える。スマートフォンが突然落下して壊れて動かなくなっても、機種変更しても、新しいスマートフォンに切り替えると、撮影した写真や動画、アプリまで「元通り」にできる。こんな便利なものはない。
【クラウドの仕組みを見ればわかること】
クラウドの仕組みをちょっと考えればわかるが、要するに「通信」でデータをネット上のどこかのサーバーに自動的にあげて置き、それをPCや他のスマートフォンでアクセスしてダウンロードし、それを使う。だから、前記のような「便利さ」が生まれる、ということになる。大前提として「通信インフラはいつでも使えて止まることが無い」ということがある。「動いていて当たり前だよね?止まったら、それは犯罪だよ」だから、ありえない、ということではないのは、ありえない、というのは、それが「複雑な機械の塊」であって、それを人間がなんとか管理しているからで、予期しない事故が起きれば、システム全体さえ止まるのは、私達はここ1年くらいの間でも、何度も経験している。
【回線は予期せず、突然止まる】
スマートフォンなども、山奥に入れば、あるいは外海に出れば、電波が通じないところがある。そこに迷い込んだら?さらには、通信システム全体が何らかの事故で止まることだって、ぼくらは経験している。そうなったら、オンラインで動いているもの「全て」が止まる。スマホでのお金の決済もできなくなる。クラウドだって、通信回線が当たり前に動いていなければ動くわけがない。大勢の人が集まる渋谷ハチ公前の交差点、金曜日午後6時、なんてところでは、電波は来ているのにつながらない、ということがある。電波の先の基地局の容量オーバーだ。これも使う側にとっては「止まる」と同じことだろう。これを通信関係の用語では「輻輳(ふくそう)」と言うのだが、最近は輻輳が起きることが結構ある。スマートフォンなどが普及したから、利用者が増えたから、時々基地局やその先の回線、サーバーの容量オーバーになることが増えたからだ。
【通信インフラは大きく、かつ複雑で、どこでなにが起きるかわからない】
普段スマホを使っているくらいでは見えないところにある「通信インフラ」は、非常に複雑で、多くの「関門」を通って、データが届く。そのどこかで「輻輳」が起きる、あるいは事故が起きる、などのことがあれば、当然「システム全体が止まる」ということさえ起きる。首都圏の電車も同じなのは、時々見るだろう。神奈川県の電車の遅延は、埼玉県で起きた事故によるもの、なんてのは当たり前になった。同じことだ。そのため、事故が起きないように、膨大なお金をかけて、高価で高性能な機器を使い、人件費を使って人を配置し、常に保守を怠らない体制を作り、いざ事故が起きても、すぐにその人達が効率的に動いて、トラブルをできるだけ短い時間でなくせるようにルールを予め作っている。それでも事故は起きる。そういうものだから、としか、言いようが無い。
【クラウドが使えるまで・使えなくなるとき】
つまり、クラウドは、クラウドのシステムを持つサーバーがあり、そのサーバーをインターネットにつなぐ通信網があり、その通信網をスマホにつなげるネットワークがまたあり、それは電波の送信と受信をしていて、と、きりがないくらい複雑である。である以上、このどこかに「予期しない事故」が起きたら、全部が止まる。私達がいま普通に使っているクラウドは、複雑で膨大なシステムで、それらが全部正常に動いている、ということだ。また、それが事故でどこかが止まると一大事なので、そのための準備も鉄壁でできている、というものではある。しかし、それでもかろうじて、と言ってもいいくらいな感じで動いている。
【インフラが止まるとき】
私達は、普段はインフラが止まることを想定して生きているわけではないことがほとんどだろう。水道で水が出ない、電気が来ない、酸欠になるところがある。私達は、10年以上前よりも更に身近になった「インフラの機能不全」を、いま、経験している。戦争であったり、自然災害であったり、システム自身のどこかで間違いがあったり。正常に動いているときは表には見えないために忘れられがちなものは回線だけではない。人間が正しく使うかどうか?も、保証されているわけではないから、常に「おかしな使い方がされるかもしれない」ことは前提としなければならない。
【人は間違う。災害は起きる】
私達は、便利なものに慣れすぎた。地産地消を売り物にする野菜作りの畑への行き来を化石燃料を使うクルマに頼る。石油の供給が止まったら?クルマで事故を起こしたら?電気自動車だって、電気が来なくなったら?
そろそろ、私達は「それ」を前提に物事を考えなければならない時期に来ているのかも知れない。