「5Gはたいしたことない」。
【「5Gってどうなんですかね?」】
5Gが始まったころ「(散々宣伝されている)5Gでどう変わるんですか?」という質問をいただくことがあったんだが、自分のそのときの答えは「(使う側から言えば)あまり変わりません」だったんだな。
結局その通りになった。
【通信を水道管に例えると】
要するに「5Gが爆速」だとしても、爆速になるところは、あくまで「基地局ースマホ間」のことで、そこから先のインターネットが混むなどして遅くなれば、そりゃ使う側では、反応が遅くなるに決まっている。道路下の水道管から自宅までの水道管の支線をいくら太くしても、道路下の主水道管が細いままであれば、自宅の風呂を水で満たす速度が速くなるわけがない。
【仕組みを変えろ】
いま「そこ」をどう改善するか?という技術がやっと動き始めている。本当は5Gが始まった頃にそれをしなければならなかったんだけどね。一般的にはわかりにくいので比較的地味な扱いしかされていないが、既にその技術は昨年のモバイル関係の世界的な展示会で発表されている。が、その重要さに気がついている人は、今でもそんなに多くない印象だ。
【5G/6Gを本当に爆速にするには】
要するに「新技術」では、インターネットを経由しないとアクセスできなかった、実際にサービスを提供する「サーバー」を、携帯キャリア会社自身が持つようにするのだ。ある意味「携帯キャリア会社のサーバー独占」というビジネスの側面もあるから、あまり大きな声では言いにくい、ってこともある話ではあるんだが。
しかし、話はそこでは終わらない。
【サーバー仮想化とSDN】
既に2005年頃から「SDN(Software Defined Network)」の技術と、サーバーの仮想化技術が出ている。前者の技術は、ネットワークの構築で普通に行われているLANケーブルの抜き差しを、完全にソフトウエアで行える技術だ。これで遠隔地からもリモートでネットワークの再構築や変更ができる。また、サーバーの仮想化技術で、複数のサーバーマシンを、仮想的に1台のハードウエアで構築できるようになった。
【当たり前の「進化」も加わる】
さらにもうひとつの技術革新は「CPUやメモリーなどの高速化と大容量化」という、ある意味当たり前の「進化」だ。より少ない(場合によっては1台で)サーバーのハードウエア上に以上の全ての技術を複数載せても、ちゃんと動くようになる、ってことだ。
さらに、これらのハードウエアの省電力化も進んでいる。
【衛星インターネットの時代へ】
そして(まだあるのかよ、と言われると思うが)、Starlinkなどの衛星インターネット等(高高度無人航空機による同様のサービスを含む)の発達と普及だ。
これらの「最先端のIT技術」の向かう先は、どうなるか。
【通信の全ては宇宙へ】
簡単に言えば「全てのインターネットは宇宙にある」という未来だ。それを地上からリモートでコントロールし、既に実験が終了し今年終わりには始まるとアナウンスされている「携帯基地局を衛星に載せる」サービスの開始が加われば、もうITの近未来は見えている、と言っていいだろう。
【消える「電話局」】
このままいけば、私たちが普通に使っているスマホのまま、地上の基地局は無くなり、電話局も消える。光ファイバーや通信用の電線も消える。もちろん、地上にあるサーバーのデータセンターも消える。全ての地上の通信設備は、はるか上空にある、という近未来が見える。いまの地上の通信設備は消え、それを保守する多くの人員も必要なくなるだろう。今、多くの人員を抱える巨大通信会社とその子会社の社員は、いまのままの仕事しかしないのであれば大方が必要なくなるだろう。
【今から未来を考えよう】
今から、そういう時代に必要な技術やビジネスを考えておこう。おそらく、だが、私が思うに、ITの未来はそこに向かっている。