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世界を揺るがせている「DeepSeek」とはなにか?

【nVIDIAの株価が一瞬で半分に】
中国のベンチャー企業の開発した「DeepSeek」という、ChatGPTに似たインターフェイスを持つ「大規模言語モデル(LLM)」のチャットボットが、大きな注目を集めている。関係者の間ではかなり前から注目されていたのだが、これが原因でAI向け高性能チップ開発企業であるnVIDIA株の半減という事態に、西側諸国は反応、いや「震撼」した。

【AIにはトレーニングが必要だが】
DeepSeekのトレーニング費用はわずか 560 万ドルとアナウンスされている。同じ答えが出せる米国の大手企業が費やしている数億ドル、あるいは数十億ドルという規模とは比べ物にならない「低コスト」だ。現状ではまだそれぞれの「得意」「不得意」の差は少々あるようだが、非常に安価(使い方によっては無料)でより広く使われるようなものになれば、当然だが、学習頻度が上がり「正解率」も高くなる。

【AIは「儲かる(費用がかかる)最先端」ではなく「低コスト競争」の時代に】
他のシステムでこれを使えるようにする「利用料」のコストも米国発のそれに比べて1/10と発表されている。更にこの新しい中国発のシステムは、オープンソースとして、基本は無料で世界にソースコード(プログラムの中身)が公開されている「より民主主義的なもの」だ(OpenAIのシステムはオープンソースになっていない)。そのため、AIへの投資は「将来はお金にならないのではないか?」ということに突然なったため、AI関連株が大量に売られたのだ。例えて言えば、蟹肉は高いが、ある地方では捨てるほど大量に取れたので無料にした、という感じだ。しかも、今は中国発だろうが米国発だろうが、プログラムはインターネットで瞬時に世界で共有される。蟹肉とは違って。

この「DeepSeek」の発表により、AIは「儲かる最先端」ではなく、国際的なコスト競争に晒されるものになった。

【最先端ハードウエアは必要ない?】
しかも、このDeepSeekがすごいのは、競合となる米国発のLLMの性能より高い性能を、米国の輸出規制で性能や機能が制限されているチップで実現したことだ。「低性能ハードウエア」をソフトウエアで「高性能ハードウエアを凌ぐ」ものにしてしまった。

西側の「いやがらせ」とも思えるハイテクのチップの輸出規制もクリアしたわけだ。

いまAIの最先端は米国から中国に完全に移ったと言っていい、とさえ言う人もいる。

【専門家向けの解説はこちら】



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