「DXだけ」では、なぜ売上が上がらないか?
【「DX」は「人減らし」が目的だが】
多くの日本の企業でDX化が進まない。DX化をすると、売上を上げる事ができる、と単純になんとなく考えている経営者が多いだからだ。しかし「DX」で売上を上げたいと考えたら、やるべきことは「DX」だけではない。DXには「二つの段階」があるからだ。
【まず第一段階のDXでは人件費の圧縮を行う】
まず日本の現在の企業で必要なのは「仕事合理化」のためのDXだ。同じ仕事をこれまでは10人が1日かけてやっていたものを、1人が1時間かけてやるようにする。そうやって会社から出ていく「人件費」の圧縮を行う。これが最初だ。そのため、現在正規社員であった人は時給の非正規職員でもできるようにする。別の言い方をすれば「人減らし」である。しかし、それだけでは終わらない。その先がある。
【DXは必須だけど】
しかし、時代は昔とは違う。周囲の環境が経済成長をしている環境であれば、そのときは違う仕事がそこに降ってきたから、人員策削減をする必要はない。余った人員を新しい仕事に振り向ければいいし、それが会社などの組織のしごとを増やし、売上を上げていく。それもDXで行えば、利益率は高いはずだ。しかし多くのところでそういう恵まれた経済環境にある仕事は少ないだろう。
【DXの第一段階は「人員削減」】
逆に言えば、現在のような全体的に下降線の経済環境では、DXは「組織を存続させるために人員削減を行うためのもの」にとどまってしまう。組織を縮小して組織の生き延びる道を選ぶ、ということだけになる。当然だが、多くの企業がそうなれば、政府の税収もさらに低くなっていく。
【DXの第二段階の前には】
ところが、多くの企業組織にかかる税金は、前年の売上を元に今年の税金額が決まっている。昨年はDX化のために多くの支出をし、手元資金が少なくなっているはずだが、DX化で人員削減をすると今年から売上が下がっていくはずだ。つまり、昨年にDXを完璧に果たせたとしても、その翌年である今年は売上は伸びないから、税金は高いものになるのは、当たり前といえば当たり前だ。ただ「デジタル化すればなんとかなる」わけではない。簡単に言えば、DXは第1段階では余剰資金の豊富な企業しかできない。DX化をした翌年は必ず資金的に苦しくなる企業が多いはずだ。
税金は、1年単位で
1.企業の売上は毎年必ず上がるものだ。
2.今年も来年も企業を取り巻く環境は変化しない。
成長は必ずするべきものだ。
3.企業は余剰資金を多く持っているはずだ。
という大前提の元に決められる。現代のような、非常に短期間での経済の激変は全く考えていないし、税金の徴収側も、それができる仕組みではない。まずはここからDX化して、スピードアップを図る必要がもちろんあるだろう。さらに、企業のDX化完了までの過渡期には、それについていけない余剰資金の少ない企業への補助金なども考えておく必要がある(実際に、それを企図した補助金はある)。それがおそらく税金を徴収する側に必要なことだろう。そうでないと、税収のもととなる企業そのものがどんどん消えて行ってしまうだろう。
【DXの第二段階は「新事業創出」】
最初の年でDX化の第一段階が成されスリムになった企業。その後は、第二段階に入る。つまり新しい事業の創出だ。そこにも人員は必要だが、DX化も同時に行わなければ、利益は上がらない。新規事業はDXが必須だ。
つまり大方の企業はどんなに短くても2年をかけてDX化による売上げ増を考える必要がある。この二段階をいっぺんに行うには、それができるだけの余剰資金を持つ必要があるが、日本では中小企業が約8割、という地域であるわけで、余剰資金を持たない中小企業のほうが多いだろう。
【DXは第一段階と第二段階を一緒に「できるか?」】
このDX化に至るまでをできるだけ短期間にするために「第一段階」と「第二段階」を同時に行う必要がある企業は多いだろう。しかし、それをするのは資金繰りということでも、また、頭の中の整理ということでも、かなり複雑なものになることは十分に予想できる。短期間でDXを行う、ということ、そのための集中投資をする、ということ、人員の職分の変更や割り振りの変更、急激な変化についていけない社員をどうするか?など、様々なことを一度に短い間にやらなければならない。「DX化の二段階」を一度に行う必要がどうしてもある企業の経営者は大変な一年になることだろう。
【まとめ】
DXには二段階がある。
1.DX第一段階:
DXによって人件費を削減して支出を減らす。
2.DX第二段階:
売上に貢献する新規事業を起こし軌道に乗せる。そのさいDXを支出削減に使う。
Good Luck,
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