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Starlinkを使ってみた。

※衛星インターネットの時代全体の記事はこちらで軽く書いています。

【衛星通信インターネット「Starlink」】

「あの」イーロン・マスク氏の会社「SpaceX」社の「Starlink」が2022年12月1日から日本でも使えるようになった(日本の代理店はKDDI株式会社)。衛星通信だから、山奥などキャリアの電波が届かないところでも使えるインターネット接続だ。個人契約ではあるが、2023年1月末現在はディスカウントをやっていて、初期費用¥36,500-、毎月の費用は¥6,600-から使用可能となっている。新しもの好きなので、まずは導入してみた(Gen.2)。

なお、2023年3月末の時点では「RV」は、国内だけでなく世界中移動して使える「ROAM」の表示に切り替わっている。その後、サービス内容がさらに変わり、2023年6月現在はROAMは国内移動のみ、世界中移動できるのは「モバイル」というサービスに変わっている。

【あまりに手軽:今は一週間ほどで届く】
2023年の2月初旬現在だが、Starlinkのキットは、後述するように、米国から直接DHLで注文後約1週間くらいで届くようだ。そして、キットが届いたら、開封して各種セットアップは1時間くらいでできるようになる。どこかの日本国内のプロバイダに頼むよりよほど早い、といえようか。あまりに手軽に手元に「衛星インターネット」という未来が手にできる。すごい時代になったものだ。これがもうすぐ当たり前になるのだろう。

【契約時の注意】
最初にStarlinkの前記のページを開いて申し込むのだが、最初に気をつけなければならないのは、契約内容だ。前記のページの上のリンクに「レジデンシャル」「ビジネス」「RV」「マリタイム」などがあるので、どれかを選んでクリックして、そのページを表示させ、そこから契約ページに進む必要がある。レジデンシャルは、基本的に最初に契約したその場所でしか使えないもの。ビジネスはビジネス利用(スピードは一定以上確保されるが初期も月額も高い)。RVは移動前提でアウトドアなどで使うもの。マリタイムは周辺の海で使うもの(2023年2月初旬の時点では日本近海は使えない)、という分け方だ。このキットの機器にはGPSが入っているので、レジデンシャルで頼んだキットをあちこちに持ち歩けない仕様(契約外の地域では接続が切れる)になっている、とのことだ。国内で持ち歩くには、「RV(2023年6月現在はROAM)」で契約する必要があるが、月額は¥9,900-となる。動かせないレジデンシャルが一番安く、月額¥6,600-だ。

【数日で届く】
私は1月26日にWebで注文した(RV)。アンテナやルーターなどはDHLで米国・カリフォルニアのLongBeachから出荷され、2月2日には東京税関で通関、2月4日に手元に届いた。だいたい注文から1週間だ。黒い箱にSTARLINKと書かれた重さ約9kg、約60cmx30cmx25cmの箱が届いた。この間、DHLのトラッキング情報ページ(Starlinkの申込みページでアカウントを作るとリンクされているページに飛ぶ)で「今どこかなー」とつぶやきつつ、STARLINKのキットを心待ちにしていた。


届いたもの


【キットの中身】

キットの中身でまずは大きいのが、長方形のアンテナ(平面で約50cmx30cm)だった。12月のサービス開始当初に頼んだ人は更に大きな円形や四角形のアンテナが届いたとのことだ。これを、付属の足(アンテナ台座)にお互いに噛み合う溝を確認して差し込む。


アンテナ台座
アンテナ側差し込み支柱
台座にアンテナを差し込んだところ


【アンテナの設置場所は重要】

なんといってもStarlinkの「キモ」は、アンテナを設置する場所(ロケーション)だ。広く空が開けているところがいい。屋上とか屋根の上だ。日本では空を眺めて北側の上空が開けているところが良いようだ。アンテナを設置する場所が決まったら、アンテナとケーブルが一体なので(後で調べたら、一体になって接続された状態で届いたのであって、アンテナ側もプラグになっていて、抜き差しできます)、アンテナとアンテナ台座とケーブル(22.8m=75ft.)の束を一緒に持って、その場所に行く必要がある。そこからStarlinkの付属のルーターのある場所にケーブルを引き込む。ケーブルは最初はアンテナに直に付いていてコネクタなどはない一体に見えるが、後で調べたらアンテナ側にもコネクタがあった。最初から間違いが無いように付けてあるらしい。しかし、実際には高いところにあるアンテナからケーブルを宅内の引き込みダクトあたりまで「垂らす」感じになると思うので、アンテナを設置のために移動させるときはケーブルも一緒に持ち歩く感じになる。アンテナケーブルの先端にはケーブルの径より太いルーターに接続するコネクタがあるので、引き込みの穴の径は3センチくらいは必要だと思う。木造家屋のロフト(屋根裏部屋)などでは、電波が弱くて接続できないことが多い。屋根裏の天井には、通常はアルミ箔などがついている断熱材などがあるからだ。アンテナ設置に行くときはアンテナ部分が重いので写真のようにもって歩くことになる。

アンテナ、ケーブル、アンテナ台座を持って高い所に
仮設置場所

【アンテナにルーターを接続する】
部屋に引き込んだアンテナに接続されたケーブルをStarlinkのルーターに接続する。ルーターに接続するケーブルはこれと電源の2つだ。

【ルーターの電源ケーブル。。。あ、これって】
ところで、付属のルーターに接続する電源ケーブルをコンセントに。。。あれ?これ、アース付き。ということで、3P→2Pの変換プラグアダプタが必要だが、キットには入っていないので、注意が必要だ。予め買っておこう。Amazonでも数百円くらいだ。もっとも、将来日本でもっと売れるようになれば、この程度のACプラグアダプターはおまけで付いて来るかもしれない。

こういうのが必要です

【ルーターにケーブルを接続】
ルーターの底にAC電源ケーブルアンテナケーブルを接続する。この2つだけだ。付属のルーターはWi-Fi接続のみ、しかもWi-Fi5だ。最新のWi-Fi6ではない。もしも、宅内とか事務所内でLANケーブル接続したい場合は、StarlinkのホームページでLAN接続用のルーターを売っているので、それを別途買うことになる。あるいは、無線LANから有線LANへのコンバーターを使う、という手もある。現在はコンバーターのみの商品は売っていないので、有線LAN接続ができる、いわゆる「無線LAN中継器」を設定して使うと良い。Starlinkのルーターのハードウエア設定はアンテナケーブル、電源ケーブルのいずれも差し込む方向があるが、方向を間違えないようにプラグの形状が考えられている。アンテナケーブルを差し込んだ後、AC電源ケーブルを差し込む。

左がアンテナケーブル、右がACケーブル。
ルーターの底面。
設置したところ

【スマホにStarlinkアプリをインストールして設定する】
ルーターには電源スイッチはないので、電源ケーブルを接続したとたんに動き始める。数分でまずはアンテナが動き天頂を向く。ここまで来たらいよいよ設定だが、スマホやタブレットに、Starlinkアプリ(iOS用、Android用がある)をインストール(Starlinkで検索すると出てきます)し、スマホをルーターにWi-Fiで接続。初期設定時はまずはルーターのWi-Fi接続用のSSIDとパスワードを設定。その後、一度切れてルーターに再接続。その後、申込時に作ったアカウントでアプリにルーターの設定のためのログインをする。すると、あとはアプリが問うままに設定すると、アンテナが自動で衛星を探して動いたりするのを楽しく眺めながら(見ていなくても勝手に動いてますけれども)、設置を終了できるはずだ。(アプリの画面は、著作権の関係もあると思うので、この記事では出していません。すみません)

【設置後にいろいろ調べてみた】
まずはインターネットの速度。この場所ではダウンリンクで50Mbpsくらい、アップリンクで16Mbpsくらいの速度だった。後で再度調べたときには、ダウンリンクで250Mbps以上、アップリンクで25Mbpsくらいになっていた。

消費電力はこのくらい

接続されると、STARLINKアプリの画面で「オンライン」「オフライン」と表示され、衛星とつながっているかどうかを確認できる。

【南側のベランダに設置】
その後、南側のベランダに設置。が、アンテナを向けたいのは北の空だ。ベランダを見ると、物干しのかなりがっちりした支柱がある。ベランダとは太いボルト・ナットで繋がれているので強度はありそうだ(なお、この後この地域を台風が二度通過したが、大丈夫だった)。そこで、この支柱に少し長いポールのついた支柱を付けて、屋根の少し上にアンテナが出るようにすることにした。追加で買ったのはマスプロ電工の「SBM45L」。このパイプの内径がStarlinkキット中のアンテナ部分を入れる支柱のはめ込み部分にピッタリ合致。はめ込んだら風などでぐるぐる回ったり、すっぽ抜けないように、ガムテープでアンテナの根本を補強。

こんな感じに仮設置できた。

【宅内引き込み】
さて、次は宅内へのケーブル引き込みだが、このケーブルには48Vの電気が通っているので、電気工事士の資格が無いと家屋のどこかに細工をして引き込めない。よくあるのは換気用ダクトを使うとか、エアコンの穴に同居させてもらうとか言うやり方だ。が、ケーブル径の穴を開けただけでは、コネクタ部分が大きくて通らない。が、米国のYouTubeの動画ではそのケーブルをぶったぎって、UTP(有線LAN)のコネクタをつける、などの荒業をやっている。中には、Starlinkのアンテナそのものを分解して作り直す、なんていう人もいる(さらには、ルーターの電源をクルマで使うためにDC電源化した人もいる)。Starlinkルーターの電源接続部分、ケーブル接続部分を見ると防水仕様になっていて、ルーターも防水仕様のようだ。しかも、ルーターは無線のインターフェイスだけだ。つまり、ルーターごと屋外に出して、そのルーターにAC100Vの電源が供給できれば、宅内には無線LANで接続できる。ベランダには電源コンセントがあったので、結局それで行くことにした。
ベランダに設置した。下の白いのがStarlinkルーター。

【簡易設置して・屋外に持ち出して】
今回のStarlinkの契約は「RV」という持ち出しできるものにしているから、自宅に永久設置する「レジデンシャル」ではない。どこかにルーターもアンテナも持ち出すことがあるので、設置しても直ぐに取り外せるようにし、戻ってもすぐに設置できるようにしたため、こんな感じの設置になった。

ベランダに寂しそうに(←個人の感想です)佇むStarlinkルーター。

【持ち出すときに入れるバッグ】
ところで、せっかくRVタイプを契約しているので、アウトドアでの使用も出来る。持ち運びには、専用のバックパックも売られているのだが、実は私はクルマで運ぶことがないので、コールマンの70Lのキャスター付きのボストンバッグ(ボストンキャリー/ソフトキャリー14-11)を使っている。これにStarlinkのハードウエア一式と、クッション、そして、少しの荷物が入るので、重宝している。Starlinkの純正のバックパックには重さのわりにキャスターがないのに比べると、持ち運びは楽なのでは?と、一人で考えている。

【追記:2024/09/30】
この時点では、ハードウエアで「Starlink MINI」が発売されていて、これだとルーター込の全重量で約1kgでおおよそ30cm四方の大きさで、バックパックにノートPCを1台いれるような感覚で持ち運びができる。

【使ってみて:切れる。。。ことがある】

ところで、アンテナを置く場所が悪い、というだけでは無いように思われるが、Starlinkは、時々衛星とつながらず、数秒という単位ではあるが、オフラインになることがあるので、そんなときは気長に再接続されるのを待つしかない。使い方の「コツ」はどうやらあると思ったほうがいい。要するに、現在私達が使っている電話局からのインターネット接続や、スマートフォンのキャリアとの接続の安定に比べると、もう少し安定して欲しい、という感じだ。(追記: が、2024年9月の時点では切れることはまずない)。

【使ってみて:つながらないサイトがある?】
私が試した範囲だが日本のYahoo!メールのアプリがStarlink経由では接続できなかった。他にもあるかもしれない。実はその後、数日でつながる様になった。インターネットはこういうことがある。要するに、Starlinkの地上局との接続は最初は米国で行われていたのが、途中で地上局は使っている各地の地上局に変わったんだな。実はインターネットは「国境を跨ぐ」とは言っても、国毎に様々な制限がかけられているので、それが顕になった感じだね。

【今後は:DXもIoTもAIも「インターネット接続」あってこそ】
そうは言うものの、ネット接続がないと何事も始まらない、という時代になった。話題のIoTも人工知能も、ネット接続が必須だ。安価な衛星インターネット接続は今後は当然必要なものになるだろうな、と、使っていて思った。

【「未来」を見ている】
Starlinkのアンテナが北向きの虚空を向いている。それが電波のやり取りをして、宇宙と交信し、地球上の人類をつないでいる。しかも普通の住宅街で、だ。この光景を目の前にすると「時代の変わり目」を、肌で実感する。やがて、プロバイダは必要なくなるんじゃないか?とか、ごく近い未来への思いが頭の中を駆け巡る。「未来が来た」感がある。

しかし、これでYoutube見てる、ってことは、BSもCSも要らないんじゃね?とか、思ったりします。


※ その後StarlinkをWi-Fi6ルーターに接続した話はこちら。


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